東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会の黒川清委員長は16日、事故発生時に政権中枢にいた政治家からも公開で事情を聴く考えを示した。政府の事故調が原因究明を優先しているのに対し、責任追及の姿勢を打ち出す。東京都内で開いた同委の2回目の会合後の記者会見で語った。
当時の菅直人首相や枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相らが対象。こうしたメンバーの委員会招致を黒川氏は「検討事項に入っている」と述べた。招致時期は「一番大事なのは何を質問するかだ。相手はベテランだ」と指摘。準備に時間をかける必要があるという認識も示した。政治家が参考人として出席に応じない場合、国会事故調は証人として出席を強制する議決を衆参両院の合同協議会に求めることができる。
一方、政府事故調はこれまで東京電力や政府関係者、科学者ら456人に原則非公開で聞き取りを実施。黒川氏は「どういう人に聞いたか、リストを請求できるのか、お互い接触している」として、連携を強めていく考えだ。
国会事故調は6月をめどに報告書をまとめる予定。この日の会合では、政府事故調や東電らの関係者に対する質疑をした。放射性物質の拡散を予測するSPEEDI(スピーディ)のデータをめぐり、文部科学省側が「公開は(昨年)4月末だが、米軍には支援をしていただくため3月14日に外務省経由で提供した」と説明。事故発生の3日後には米軍に伝えていたことを明らかにした。