東日本大震災アーカイブ

全県民の賠償「努力したい」 首相が首長らと意見交換

 8日に福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」では、県内の首長らと野田佳彦首相ら閣僚が意見を交わした。全ての県民への賠償、子どもの医療費無料化などを国に強く求めたが、野田首相らは「努力したい」などと応じるにとどまった。
 県市長会長の瀬戸孝則福島市長は、自主避難者の損害賠償について県南地方と会津地方が対象外となったことに触れ「全ての県民に等しく賠償すべきだ」と指摘。野田首相は「福島県を分断しないでほしいという声は重く受け止める」と答えた。
 遠藤勝也富岡町長は、土地や建物など財産について早急な賠償を求めた。「方針を明確にしなければ、住民の帰還意欲が希薄化してしまう」と懸念を口にした。
 前県町村会長の浅和定次大玉村長は、東京電力福島第一原発事故で子どもたちが県外に流出している現状に危機感を示し、「国策として、県内の18歳未満は医療費を無料にしてほしい」と訴えた。
 双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長は避難区域の見直し方針が不満だ。「年間20ミリシーベルトが安全というなら、原子力安全委員会の家族も住んでほしい。安全が確認されれば自分たちも帰る」と憤りをぶつけた。
 斎藤健治県議会議長は、福島復興再生特別措置法案(仮称)の早急な成立を要求。「特措法ができないと復興が滞ってしまう。各大臣の来県が相次いでいるが、除染や損害賠償の取り組みは進んでいない。政府はしっかり対応すべき」と強調した。
 瀬谷俊雄県商工会議所連合会長は経済の振興策として、県内の法人税率大幅引き下げなどの優遇措置の必要性を指摘しながら、「福島県は異常事態にあり、乱暴でも超法規的に取り組んでもらわないと困る」と注文した。
 庄條徳一JA福島中央会長は平成24年産米の作付けの制限範囲を早急に提示するよう求め、「農業者の気持ちが折れないうちに施策を講じて」と強く訴えた。