白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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柯潔九段ーAlphaGo 第2局

2017年05月25日 21時55分15秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は柯潔九段とAlphaGoの三番勝負、2局目が行われました。
結果は155手でAlphaGoの黒番中押し勝ちとなりました。
それでは、今回も私の印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(実戦白20)
左下隅で、何とMasterが三々打ち!
60番碁では1局も見られませんでしたが、心境の変化でしょうか?(笑)

そして、白△のノゾキは軽いジャブのような手です。
黒Aとつないでくれれば僅かに得ということです。





2図(実戦黒21~25)
そこで、黒としては素直につながず、1と反発することも考えてみたいところです。
ただ、Masterはその後が違いました。
白2に黒Aの伸びではなく、黒5の飛び!
見るからに穴だらけで、人間の感性では思い付き難い手です。
黒は危なそうですが、黒3の切りを入れておくことで支えているとの読みがあります。

黒Aの伸びも黒5の飛びも、白Bと切られると黒△が取られることは同じです。
あえて取らせて外勢を築く作戦なのですが、黒5の方がより良い形を作れるというのです。
打たれてみればなるほどと思えます。





3図(実戦黒53~白56)
黒1、3は気付き難いですが手筋です。
次に白Aなら黒Bから左下隅と連絡できますし、黒Cの傷も残ります。

しかし、その瞬間に白4とは鋭い!
黒が隅を受けていると、下辺と連絡できなくなるという訳ですね。
流石柯潔九段という切り返しです。





4図(実戦黒73~白76)
その後黒1、3と打ち、次に白Aと切れば黒Bと取って大コウが発生します。
そのためにコウ立てを作りに行く白4・・・。
この碁はここから複雑怪奇な戦いが繰り広げられます。
もしAlphaGoが李世ドル九段と対局した時のバージョンだったら、恐らく柯潔九段が勝ったでしょう。





5図(実戦白118)
118手目を打った時点です。
大雑把に言えば、黒a~dの集団と白a~dの集団が複雑に絡み合っています。
しかも左下隅のコウが未だ残っており、黒✖か白✖、どちらかの石が死ぬ可能性大です。
形勢も分からなければ、次の一手も分からない、そんな場面ですが・・・。





6図(実戦黒119)
黒△の並びが止めの一撃!
次に黒Aで左下白△を、黒Bで白〇を攻める手を見合いにしています。
まるで初級者が打つような一手ですが、これで勝負は決まりました。



前回は半目、今回は155手で中押し・・・ということで、前回は接戦、今回は惨敗と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際は全く逆です。
AlphaGo相手に形勢不明の戦いを長く続けた、柯潔九段の残念譜と言えるでしょう。

今回、AlphaGoは自分から仕掛ける場面が多く、柯潔九段としてはチャンスがあると感じたのではないでしょうか。
レベルの高い対局ではコミ7目半の負担は重く、AlphaGoも例外ではないのかもしれません。
3戦目は柯潔九段が自ら申し出て、白を持って対局することになりました。
27日(土)の対局を楽しみに待ちたいと思います。
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