放射性物質で汚染された土や水をきれいにする新装置を東芝が開発、26日に公開した。コンテナに積んで移動させることもできる。今後は東北や関東などの自治体向けに「出張除染サービス」を売り込む予定だ。
除染サービスの費用は1日数百万円を想定している。新装置は汚染土壌にシュウ酸を混ぜて放射性セシウムを分離し、その後に洗い流すことで、97%の放射性セシウムを除去。これで、学校の校庭の土などが再び使えるようになるという。すべての装置が二つのコンテナ内に収まり、トラックの荷台に載せて移動できる。1日に1.7トンの土壌を処理できるという。
また、放射能に汚染された水を浄化できる移動可能な新装置も開発。コンテナ一つ分の装置で、小学校のプール1杯分の汚染水を飲料水のレベルまでにできる。家屋の除染で出た水や、ため池の農業用水の浄化を想定している。
政府が東京電力福島第一原発事故の収束を宣言したことで今後、原発周辺の高濃度の汚染地域でも除染が進められる見通しだ。今回の装置を使えば、放射性物質を分離して封じ込めることができるため、除染の際に放射性物質が拡散する二次被害も防げるという。
東芝の畠沢守・原子力福島復旧技術部長は「放射性物質を拡散させずにコンパクトに集め、適切に管理することが大切。土壌も水も運び出して除染するのではなく、現場で処理できるように工夫した」と話した。(野村周)