金沢の強盗殺人、起訴内容を否認 元NHK委託カメラマン
金沢市の主婦、福田春奈さん(当時27)が昨年2月に行方不明になり、石川県の海岸から遺体で見つかった事件で、強盗殺人と死体遺棄の罪に問われたNHK金沢放送局の元委託カメラマン、若生康貴被告(36)は9日、金沢地裁(神坂尚裁判長)の裁判員裁判初公判で「この事件はすべて事実ではありません。わたしは犯行を犯していません」と起訴内容を否認した。判決は3月2日。
検察側は冒頭陳述で「被告は福田さんから投資名目で800万円を預かり、昨年2月までに約300万円を宝くじなどに使っていた」と指摘。若生被告の車内から福田さんの大量の血痕や靴の跡が見つかったとし「金の返済を免れるために犯行に及んだ」と主張した。
弁護側は「2人は約4年前に知り合った。800万円は福田さんから受け取った金ではない。300万円は自分のもので、残り500万円は福田さんから紹介された男から預かった。2月6日夜に福田さんとは会っておらず、その男らと会っていた。事件に巻き込まれただけで、被告は無罪だ」などと訴えた。
起訴状によると、若生被告は昨年2月6日夜~7日未明、福田さんから預かった金の返済を免れるため、乗用車内で刃物を福田さんの首に突き刺して殺害し、遺体を石川県内灘町の砂浜に埋めたとしている。
福田さんの両親は初公判に先立ち、弁護士を通じて「裁判官と裁判員の方には事件の真相を解明してほしい。若生被告には、真相を自分の言葉で正直に述べてほしい」とのコメントを出した。
NHK金沢放送局は「コメントは差し控えさせていただきたい」としている。〔共同〕