「抽象」を掲げ、息の長い活動を続けるグループ。以前の年2回(これとは別に旭川移動展を開いていた時代もあったらしい)から1回に開催を減らし、市民ギャラリー1階全室を使用していた会場規模も1部屋に縮小したものの、着実に歩みを重ねている。
今回は、同人13人のうち宇流奈未さんが不出品。昨年推薦作家として出品した人のうち、小川豊さんと丸藤真智子さんが新たに同人に加わった。
推薦作家は昨年と同じく3人。史上最小タイだが、抽象絵画に取り組む人が減っている現状では、やむを得まい。
冒頭画面の中央、床置きの立体は、田村純也「操 -SOU-」。
針金のような素材で作った大小の球15個を並べている。
右端は若手の推薦作家、田中季里「doors」。
黒い上に青鉛筆で矩形をドローイングしている。最初見たとき、紙版画かと思った。独特の質感がある。
林教司「赫景 I」
F100を横に2枚つなげた大作。こういう暗色の大作を描いたら、林さんはほんとうにうまい。丁寧な塗りが、深遠さを支えている。
鈴木悠高「sonar 2016 H」
F100。血圧が高かった頃に着想した作品。そう言われてみると、中央のオーカーの部分は、未知の文字というよりもむしろ心音の残響のように感じられてくる。
ほかに「drawing」4点。
丸藤美智子「風の向こう」。
F130を3点も出品。意欲の強さを感じるなあ。
丸藤さんの作品の特徴は、凹凸のある画肌。リズミカルで、土俗的な音楽を感じるのは、筆者だけだろうか。
ほかに小品「星月夜」2点も出品。丸藤さんは新同人。
左の2点は今荘義男「古里」シリーズの2点。
焦げ茶系を主体にしたシンプルな画面はこれまでとあまり変わらないが、左側は、画面下部の明るい部分が左側に寄って、非対称的な要素を導入しているのが珍しい。
右側も、これまでは画面をほぼ半分に割っていた構図の多い中で、下部の占める割合をぐっと縮めたのが、新たな展開といえる。
今荘さんは会の創立同人。
右手の大作は後藤和司「river 2016」。
M100を3枚つなげた大作だ。
細かい線の集積から一転、単純な構図と明るい色彩の作品になっている。
「シンプルにいこうと思った。リラクゼーションアートみたいのをやりたいという気持ちもあって」
と後藤さん。
ただし、重ねた色の削り出しをまだ行っていないので、これは「試行錯誤中、消化不良」だとのこと。
ほかに小品3点。
小川豊「心のひだ2016-4-16」。182×92センチ、5枚と図録にはあるが、メインの作品は2枚つながり。
背景が余白になっている上に、サルノコシカケのような、あるいは波のような模様がどこまでも増殖し広がっていくさまは、これまでと同様だが、画面上方を中心として、うちわの骨のように線が8方向に伸び、そこで模様が切断されているのは新しい傾向。
「色の濃淡にも気を配りました」
と話す小川さんは、新同人。
左は、推薦作家の伊藤喜美子さんの「MOKU」。F4を20点、F8を10点、平面インスタレーションふうに、壁面にちりばめている。
2011年以降に描いた小品の集大成のようだ。飛まつが前面にちりばめられた絵が多い。
右は同人の宮部美紀さん「流れる」(F60)。
同題2点と、無題の小品2点を出品している。
水彩とは思えない、太く力強い画風。非常に目の粗い支持体に描いている。テーブルクロスのような厚みと凹凸がある。
右は創立会員の佐々木美枝子さん。
「作品 I」「作品 II」、いずれもS60。
大ベテランだが、枯れないパワーを感じさせる。
左側は三浦恭三「関係律 16-1」「関係律 16-2」「関係律 16-3」。
クリアな青系を主調色に、生命のリズムを描く。軽快さは例年と変わっていない。
左は推薦作家の木内弘子さん。
F100の「奏」が3点と、F3の「和音」が2点。
奥は同人の名畑美由紀「ROSE」(F100と、F50が2点)。
名畑さんは、わりあいひんぱんに画風をかえるタイプで、今回はピンク一色のオールオーバーな画面になっている。
画像の大きさに差がありますが、あまり深い意味はありません。
2015年4月19日(火)~24日(日)午前10時(初日は午後1時)~午後5時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
関連記事へのリンク
【告知】第42回北海道抽象派作家協会展 (2015)
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
■北海道抽象派作家協会秋季展 (2013)
【告知】第39回北海道抽象派作家協会展 (2012)
・2011年の告知
■第37回(2010年) ■続き
■第三十三回北海道抽象派作家協会秋季展 (2009年10月)
■北海道抽象派作家協会 同人と2009年展推薦者による小品展 (2009年7月)
■第36回北海道抽象派作家協会展 ■続き ■続々 (2009年4月)
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年9、10月)
■第35回展(2008年5月)
■第34回
■第33回
■第32回
■第31回
■03年秋季展(画像なし)
■第30回(画像なし)
■02年の秋季展(画像なし)
■第29回
■01年の秋季展
■第28回
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
今回は、同人13人のうち宇流奈未さんが不出品。昨年推薦作家として出品した人のうち、小川豊さんと丸藤真智子さんが新たに同人に加わった。
推薦作家は昨年と同じく3人。史上最小タイだが、抽象絵画に取り組む人が減っている現状では、やむを得まい。
冒頭画面の中央、床置きの立体は、田村純也「操 -SOU-」。
針金のような素材で作った大小の球15個を並べている。
右端は若手の推薦作家、田中季里「doors」。
黒い上に青鉛筆で矩形をドローイングしている。最初見たとき、紙版画かと思った。独特の質感がある。
林教司「赫景 I」
F100を横に2枚つなげた大作。こういう暗色の大作を描いたら、林さんはほんとうにうまい。丁寧な塗りが、深遠さを支えている。
鈴木悠高「sonar 2016 H」
F100。血圧が高かった頃に着想した作品。そう言われてみると、中央のオーカーの部分は、未知の文字というよりもむしろ心音の残響のように感じられてくる。
ほかに「drawing」4点。
丸藤美智子「風の向こう」。
F130を3点も出品。意欲の強さを感じるなあ。
丸藤さんの作品の特徴は、凹凸のある画肌。リズミカルで、土俗的な音楽を感じるのは、筆者だけだろうか。
ほかに小品「星月夜」2点も出品。丸藤さんは新同人。
左の2点は今荘義男「古里」シリーズの2点。
焦げ茶系を主体にしたシンプルな画面はこれまでとあまり変わらないが、左側は、画面下部の明るい部分が左側に寄って、非対称的な要素を導入しているのが珍しい。
右側も、これまでは画面をほぼ半分に割っていた構図の多い中で、下部の占める割合をぐっと縮めたのが、新たな展開といえる。
今荘さんは会の創立同人。
右手の大作は後藤和司「river 2016」。
M100を3枚つなげた大作だ。
細かい線の集積から一転、単純な構図と明るい色彩の作品になっている。
「シンプルにいこうと思った。リラクゼーションアートみたいのをやりたいという気持ちもあって」
と後藤さん。
ただし、重ねた色の削り出しをまだ行っていないので、これは「試行錯誤中、消化不良」だとのこと。
ほかに小品3点。
小川豊「心のひだ2016-4-16」。182×92センチ、5枚と図録にはあるが、メインの作品は2枚つながり。
背景が余白になっている上に、サルノコシカケのような、あるいは波のような模様がどこまでも増殖し広がっていくさまは、これまでと同様だが、画面上方を中心として、うちわの骨のように線が8方向に伸び、そこで模様が切断されているのは新しい傾向。
「色の濃淡にも気を配りました」
と話す小川さんは、新同人。
左は、推薦作家の伊藤喜美子さんの「MOKU」。F4を20点、F8を10点、平面インスタレーションふうに、壁面にちりばめている。
2011年以降に描いた小品の集大成のようだ。飛まつが前面にちりばめられた絵が多い。
右は同人の宮部美紀さん「流れる」(F60)。
同題2点と、無題の小品2点を出品している。
水彩とは思えない、太く力強い画風。非常に目の粗い支持体に描いている。テーブルクロスのような厚みと凹凸がある。
右は創立会員の佐々木美枝子さん。
「作品 I」「作品 II」、いずれもS60。
大ベテランだが、枯れないパワーを感じさせる。
左側は三浦恭三「関係律 16-1」「関係律 16-2」「関係律 16-3」。
クリアな青系を主調色に、生命のリズムを描く。軽快さは例年と変わっていない。
左は推薦作家の木内弘子さん。
F100の「奏」が3点と、F3の「和音」が2点。
奥は同人の名畑美由紀「ROSE」(F100と、F50が2点)。
名畑さんは、わりあいひんぱんに画風をかえるタイプで、今回はピンク一色のオールオーバーな画面になっている。
画像の大きさに差がありますが、あまり深い意味はありません。
2015年4月19日(火)~24日(日)午前10時(初日は午後1時)~午後5時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
関連記事へのリンク
【告知】第42回北海道抽象派作家協会展 (2015)
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
■北海道抽象派作家協会秋季展 (2013)
【告知】第39回北海道抽象派作家協会展 (2012)
・2011年の告知
■第37回(2010年) ■続き
■第三十三回北海道抽象派作家協会秋季展 (2009年10月)
■北海道抽象派作家協会 同人と2009年展推薦者による小品展 (2009年7月)
■第36回北海道抽象派作家協会展 ■続き ■続々 (2009年4月)
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年9、10月)
■第35回展(2008年5月)
■第34回
■第33回
■第32回
■第31回
■03年秋季展(画像なし)
■第30回(画像なし)
■02年の秋季展(画像なし)
■第29回
■01年の秋季展
■第28回
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)