福島第一原発事故の避難区域外の150万人に対する賠償支払いで、東京電力が、対象の福島県23市町村から住民基本台帳の情報を電子データで受け取ることが決まった。住民は本人確認のため住民票の写しを出さなくてもよくなり、支払い手続きが簡素になる。東電は3月にも支払いを始める。
市町村が提供するのは、住民基本台帳にある氏名や住所などの情報。記録した電子媒体を県が取りまとめて東電に渡す。この住所に東電が賠償の請求書類を送る。
東電は避難区域内の約15万人への賠償仮払いでは、まず、住民に電話で住所を伝えてもらって請求書を送り、住民票の写しの提出も求めていた。ただ、この10倍となる150万人への賠償では市役所などの窓口が混乱するおそれがあり、住民基本台帳のデータを活用することになった。
市町村は、個人情報保護条例に基づき、有識者らでつくる審査会にデータ提供を認めてもらう。東電は県との間で、個人情報の流出防止について協定を結ぶ。
当初は各市町村の持つ情報を回線で結んだ住民基本台帳ネットワークの活用も検討したが、条例改正が必要になるため、断念した。
150万人には自主避難したか残ったかに関係なく、妊婦と18歳以下の子どもは1人40万円、それ以外は8万円を支払う。妊婦は母子手帳など証明書類を提出してもらう。
政府の指針で賠償対象と認められなかった自主避難にかかった交通費などについても、東電が近く具体的な賠償基準を示す。(竹中和正)