福島県大熊町長選は、「ふるさとに戻ることが原点」と主張した現職の渡辺利綱氏(64)が3451票を獲得、「帰れないことを前提に取り組む」と訴えて2343票を得た新顔の木幡仁氏(60)を破り再選を決めた。住民は町に戻って復興を目指すことを選択した。
町には福島第一原発の1〜4号機があり、全域が警戒区域で全町民の避難が続く。原発近くではいまも高い放射線量が計測されており、町の将来像をどう描くかなどが争われた。
渡辺氏は「帰れないと悲観的な町民が多くなっているが、ふるさとを取り戻すのが大事」と主張。当選を決め、「除染で住める環境をつくる。町としても復興計画をつくる」と語った。
除染で出る土壌の中間貯蔵施設については「現実的選択として想定しないといけない課題。議会の代表も決まったので、町、双葉郡も含め議論していく必要がある」と述べた。
木幡氏はいわき市や田村市の国有林などを候補地に、町民が定住できる場所を確保すると訴えた。