文部科学省は18日、福島県内の学校や公園で放射線量を計測する「オンライン線量計」を発注した業者との契約を解除したと発表した。測定精度が低く、結果の送信ができないなどのトラブルで納期が守られなかったためと説明している。
この業者は東京都中野区の「アルファ通信」(豊田勝則社長)。朝日新聞の取材に「納入が遅れたのは文科省から大幅な仕様変更を求められたため。訴訟も検討する」と反論している。
文科省によると、来年2月までに線量計を計2700台配備し、省のホームページでリアルタイムの測定結果を公表する計画。7月に最初の600台分の競争入札を実施し、参加5社のうち最安値だったアルファ社と約3億7千万円で契約した。
しかし、同社は測定結果を携帯電話の基地局に送信できないトラブルなどを理由に納期を2度延長。文科省職員が立ち会って3台の性能試験をしたところ、いずれも線量が実際より4割低く表示された。契約上の測定誤差は「±20%以内」で、納期から約1カ月遅れの11月14日になっても解決のめどが立たないため、契約を解除したという。
文科省は契約金を支払っておらず、アルファ社に違約金約3700万円を18日請求した。今後、別業者との契約を進める。
オンライン線量計は太陽光パネルの電力で作動し、地上50センチまたは1メートルの線量を測定して10分ごとに送信する機器。東京電力福島第一原発の事故を受け、文科省は住民の安全、安心をはかるためとして、今年度第1次補正予算で600台分約8億6千万円、2次補正で2100台分約17億円を計上した。