北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■第3回佐藤香織点描画展「心の中の風景」(11月30日まで)

2008年11月18日 23時34分07秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 驚異的ともいえる、ペンによる点描画を制作する札幌の若手の佐藤さんが、昨年にひきつづき丘珠空港で個展をひらいています。
 先に書いたように、会場は3階のスペースだけです。窓越しに送迎デッキと滑走路が見えます。

 旧作、新作とりまぜた展示です。
 冒頭画像の左側に見える比較的大きな作品は、昨年の作「きみとわたしと」。
 ただし、今回は小品が中心です。

 大きな特徴は、これまでほぼモノクロームの世界を展開していた佐藤さんが、大胆に色を使い始めたことでしょう。
 上の画像で、右側に展示されている「たのしいらくだ」などは、砂漠が黄色とピンクに薄く塗られています。
 背後に空飛ぶ円盤が墜落し、空を流れ星が横切っているのは、佐藤さんらしいメルヘンのイメージです。 


           

 この絵は、これまでの佐藤さんを知る人にはおどろきではないでしょうか。
 左端は「やさしい花」。ユリやチューリップが丹念に描かれています。
 ただし、ここまで色をつかってしまうと、佐藤さんの最大の特徴である緻密な点描が目立たなくなってしまいます。なかなかさじ加減のむつかしいところだと思います。

 ほかに筆者が好きだったのは、これはほぼモノクロでしたが「オーロラの夜」。
 手前の家や木々が、オーロラに照らされているので、逆光で描かれて手前に影を投げているのは、前回も指摘したとおり、佐藤さんの光に対する鋭い感受性の表れだと思います。遠景の針葉樹がシルエットで処理されているのも巧みです。
 近景には、おなじみのニョロニョロのようなおばけ(?)が4匹ならんでいて、みんなマフラーをしているのが冬らしくておもしろい。右端のおばけは、頭上にパラボラアンテナをのせています。

 もうひとつは、会場を意識した作品が多いこと。
 「つなぐひこうき」など、紙飛行機をテーマにした作品のほか、先述の「きみとわたしと」など画面のどこかに紙飛行機やUFOが描かれた絵があるのは、空港で展示されることが念頭にあったのではないでしょうか。
 飛行機や空港という存在はわたしたちの想像力を刺戟してやみませんが、佐藤さんの絵もおなじ性質を持っているといえるかもしれません。



2008年11月1日(土)-30日(日)7:00-19:00 会期中無休
札幌丘珠空港ビル3階特設会場(東区丘珠町)



・地下鉄東豊線「栄町」駅2番出口から徒歩15分
・同駅2番出口附近の乗り場から中央バス「26 丘珠線」「麻26 東苗穂線」で「丘珠空港前」降車すぐ。おなじく「栄21 栄町篠路線」で「丘珠空港入口」降車、徒歩2分
・ほかに札幌駅の近くから直通バス(北都バス)あり


2008年7月の個展
08年4月の個展
06年2月の個展


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。