小宮山洋子厚生労働相は28日の閣議後会見で、食品に含まれる放射性物質の新基準をつくるにあたり、算定根拠となる年間の被曝(ひばく)許容量について「放射性セシウムは年間1ミリシーベルトを基本に検討する」と発表した。現在のセシウムの暫定基準は年間5ミリシーベルトで、5倍の厳しさになる。新基準の施行は来年4月を目指す意向も示した。
理由として、(1)食品の国際規格を決めるコーデックス委員会が年間1ミリシーベルトを超えないよう食品の基準を設定している(2)食品の放射性物質の検査数値が低下傾向である――などを挙げた。
年明けまでに食品ごとの基準値案をまとめ、文部科学省の審議会などに意見を聞いた上で、来年4月に施行する方針だ。
内閣府の食品安全委員会は27日に「健康影響が見いだされるのは生涯の累積で100ミリシーベルト」と厚労省に答申した。この100ミリシーベルトはセシウムを含む放射性物質全体の線量を指している。
セシウム許容量の年間1ミリシーベルトへの引き下げを検討するのは、答申とは直接関係がない。ただ、仮に寿命を100歳とした場合に0歳児は年間1ミリシーベルトが放射性物質全体の許容量になるなど、参考にしている。
原発事故で放出され、土壌などに残っている放射性物質のほとんどはセシウムだとして、厚労省は新基準の基本はセシウムと判断している。
セシウム許容量の年間1ミリシーベルトについて、小宮山厚労相は「子どもへの安心に配慮した数字」と述べた。
また、厚労省の薬事・食品衛生審議会では、粉ミルクやベビーフードなど乳幼児用の食品について新しく基準を設けるかや、セシウム以外の放射性物質の扱いについても議論してもらうという。