震災の津波で大きな被害を受けた岩手県大船渡市の綾里(りょうり)川で、サケの遡上(そじょう)が始まっている。川を塞いでいたがれきをボランティアが取り除き、サケは震災前と変わらない力強さでふるさとの川に戻ってきた。
15日、雌と雄が岩場を縫うように上流を目指し、河原のあちこちに産卵を終えて力尽きたサケが流れ着いていた。漁港や河川のがれき除去に取り組むNPO三陸ボランティアダイバーズ(VD)の佐藤寛志理事長(37)は「戻り始めたのは9月終わりごろ。最初に見た時はほっとした」。
津波は河口にある綾里漁港を直撃し、両岸の家屋をのみ込みながら川を約1キロ逆流。川を覆うようにがれきが残った。「半年以上たっても、がれきは次々と出て来る」とVDの浦嶋康元さん(42)。川でがれきを拾う足元をサケが上っていく。
市によると、遡上は年末まで続く。県内のサケの定置網は震災被害で復旧が進んでおらず、例年より多くのサケが川に戻る可能性があるという。(山西厚)