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2011年9月14日10時0分
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落ち葉取り除けばセシウム9割減 森林の除染に手がかり

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写真:スギ林の中に降る雨の放射性セシウム汚染濃度を測る装置=福島県川俣町、恩田教授提供拡大スギ林の中に降る雨の放射性セシウム汚染濃度を測る装置=福島県川俣町、恩田教授提供

図:森林の土壌汚染の概要拡大森林の土壌汚染の概要

 落ち葉を取り除けば、森林の地表では最高で9割の放射性セシウムの汚染度を減らせる――。こんな調査結果を、文部科学省の研究チームがまとめ、13日に公表した。福島県は7割以上が森林で覆われている。東京電力福島第一原発事故による広大な汚染地域の除染の見通しは立っていないが、取り組みを進めるうえで手がかりになるという。

 筑波大の恩田裕一教授や気象研究所などのチームは6〜8月、文科省から研究費を受けて、計画的避難区域に指定されている川俣町山木屋地区の3地点の森林で土壌の汚染度や大気中の放射線量を調べた。対象は、ナラガシワなどの広葉樹林と、杉の樹齢が18年(若齢林)と、40〜50年(壮齢林)の針葉樹林。

 この結果、土壌のセシウム134と137の汚染度の合計は、広葉樹林が1平方メートルあたり71万ベクレル、杉の若齢林が47万ベクレル、壮齢林は91万ベクレルと、チェルノブイリ原発事故での「強制移住」レベル(55万5千ベクレル)の汚染だった。このうち、広葉樹林と若齢林はセシウムの9割が表面の落ち葉に蓄積され、土壌には1割しか浸透していなかった。一方、樹間が広い壮齢林では土壌への蓄積量は5割程度だった。

 また、森林に雨が降ると、葉や枝に付着した大量のセシウムが土壌に落ちていることも分かった。森林の外の雨水の放射能濃度は1リットルあたり1ベクレル以下でも、事故当時すでに葉が茂っていた針葉樹林に降った雨水は最高585〜806ベクレルとなり、飲料水の規制値200ベクレルを超えていた。

 今回のデータは森林公園といった人が頻繁に出入りするような場所での効率的な除染や、除染の優先順位を考える際に生かせるという。恩田さんによると、調査地域の周辺は森林を裏山にもつ家屋も多い。「家の周りだけ除染しても森林からの影響が考えられる。落ち葉や針葉樹林の枝葉を取り除くなどの対策に生かしてほしい」と話している。(岡崎明子、佐藤久恵)

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