九州電力の「やらせメール」問題で、6月に古川康・佐賀県知事と面会した九電幹部が会談中に手帳に記録した知事発言と、会談後に作成した発言メモの内容が、ほぼ一致していることが分かった。問題を調査している九電の第三者委員会は、メモはほぼ正確だとして、8日に公表する中間報告で、知事発言が問題の発端になったと認定する見通しだ。
知事発言のメモを作った大坪潔晴・佐賀支社長らは8月の佐賀県議会で「懇談内容は書き留めなかった」と述べていた。メモについて真部利応(としお)社長は「不正確な文書」、知事は「(実際の発言と)ニュアンスが違う」などと説明してきたが、手帳と照合した第三者委が「ほぼ正確」と認めることで、知事の責任が改めて問われそうだ。
複数の関係者によると、古川知事は、九電玄海原発(佐賀県玄海町)の運転再開問題に関する国のテレビ番組放送を5日後に控えた6月21日、九電の段上守副社長(当時)や大坪氏ら3人と会談し、「再開容認の立場から番組に意見や質問を出してほしい」などと発言。その場で大坪氏は知事の発言内容を手帳に書き込み、会談後に段上氏の指示を受けて、手帳を元に知事発言メモを作った。
手帳の記録は詳しい記述のほか、キーワードのみが記された部分もあったが、発言メモの内容とおおむね一致したという。メモは原子力部門の課長級社員がメールに添付し、社員らに送信され、やらせ問題につながったとされている。
第三者委は8日、東京都内で会合を開き、中間報告で知事の関与をどう表現するかなどを最終的に詰めた後、報告書を公表する。(斎藤徹、河村能宏)