原発相「原発耐用年数に新基準」
避難準備区域、月内解除へ
細野豪志環境・原発事故担当相は4日、日本経済新聞などとのインタビューに答え、原子力発電所の耐用年数について「科学的に判断できる状況をつくらなければならない」と述べ、新たな基準を設ける考えを示した。「40年が一つのラインになる可能性はあるが、年限で切ることは必ずしも科学的ではない」とも語った。野田佳彦首相は寿命を迎えた原発を廃炉にすると表明している。
東京電力福島第1原子力発電所の半径20キロメートル圏外に設けた「緊急時避難準備区域」について、月内に解除できるとの見通しも明らかにした。放射性物質で汚染されたがれきや土壌などの最終処分地は、中間貯蔵施設を置く福島県以外に設置する考えを表明した。
緊急時避難準備区域は、福島第1原発から半径20キロメートル圏外に設定。住民は退去する必要はないが、不測の事態が起きた場合、直ちに避難する準備が必要とされる。7月に原子炉の安定的な冷却が達成できたとして、政府と地元自治体が解除に向けた準備を進めてきた。
汚染がれきなどの処理に関しては、菅直人前首相が退陣直前、除染作業を進めるため一時的に保管する「中間貯蔵施設」を福島県内に置く考えを伝え、地元の反発を招いた。原発相は「福島県を最終処分場にしないという方針をできる限り貫く」と表明。中間貯蔵施設に関しては「福島県内にお願いせざるを得ない」と理解を求めた。
停止中の原発の再稼働の条件となるストレステスト(耐性調査)の結果を評価する体制については「第三者的な専門家に意見を求めることが必要かもしれない」と述べた。「原子力安全・保安院や政治家の評価だけでは国民は理解してくれない」と説明。新たな検討の場が必要との認識を示した。
地球温暖化対策では、従来の政府方針を踏襲する考えを表明。2020年までに温暖化ガスを1990年比で25%削減する中期目標は「守っていく」と言明した。再生可能エネルギーの普及や節電などで達成を目指す。
11月末から開く第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)では、政府の従来方針通り京都議定書の延長に反対することを明確にした。
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