国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は30日、東京電力福島第一原発の事故を受けて4月に中断していた「原子力政策大綱」の見直し作業を再開することを決めた。大綱は2005年に定められた原子力政策の基本方針。今後1年をめどに、新大綱をまとめる。
事故収束に向けた工程表の第一段階「ステップ1」が7月に終わったほか、「エネルギー・環境会議」が原発への依存度を徐々に下げる「減原発」を柱にした中間整理案を出した。原子力をとりまく状況が変わったのが再開の理由だ。
原子力委は東日本大震災前からウェブサイトで大綱改定への意見を募集中で、福島第一原発の事故以来、意見は1万件を超した。現大綱は、燃料を再処理して再び使う核燃料サイクル政策の推進や、国内の原子力発電の比率を2030年以降は30〜40%以上にすることを目指していたが、見直しを訴える声が目立つ。こうした意見も議論の参考にするという。(小堀龍之)