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ブランドと大学がコラボ プリングル、ブリオーニ

2011年8月29日10時49分

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写真:学生たちがデザインしたプリングル・オブ・スコットランドの新作ニット拡大学生たちがデザインしたプリングル・オブ・スコットランドの新作ニット

写真:デザインコンペで優秀作品に選ばれた東大生たちの作品=ボッテガ・ヴェネタ提供拡大デザインコンペで優秀作品に選ばれた東大生たちの作品=ボッテガ・ヴェネタ提供

写真:ブリオーニの職人による英国王立芸術大学の授業風景拡大ブリオーニの職人による英国王立芸術大学の授業風景

 世界の高級ブランドが教育機関とコラボレーションをする例が増えている。デザインコンペや商品開発、講座開設など、取り組み方は様々だ。学生側は生きた経験を積め、ブランド側には伝統技の継承や話題づくり、新鮮な感性を取り込めるメリットもある。

■感性取り込む

 オレンジ、グリーン、イエロー、ブルー。6月にフィレンツェで行われた紳士服展示会、ピッティ・ウオモの会場に、伝統のアーガイルチェックを大胆に再解釈したニットが並んだ。デザインしたのはイギリスの名門芸術大学、セントマーティンズ大の学生たちだ。

 同校とのコラボレーション事業「ザ・アーカイブ・プロジェクト 1815―2012」を行っているのは老舗ニットブランド、プリングル・オブ・スコットランド。196年に及ぶ自社の歴史を掘り起こし、若い感性と結びつける試みだ。ニットは実際に発売される。

 同校のルイーズ・ウィルソン教授によれば、過去のデザインを集めたアーカイブ(保存資料)の研究班と、デザイン担当班の二手に分かれ、プロジェクトを進めたという。

 「若くて才能あるデザイナーの卵にチャンスを与え、ニットウエアの革新によってブランド力強化にも役立つ。コラボの相性は抜群です」

■伝統、次世代へ

 若手デザイナー育成のため、学生向けのコンテストを行っているのは、イタリアの老舗高級ブランド、ブリオーニ。英国王立芸術大学(RCA)と組む。

 4回目の今年はコートがテーマ。学生たちは同社で集中的に、仕立てやハンドメードの技術について学ぶ。デザイン画は熟練の職人技により実際にコートになる。今年は3人の受賞者の一人に日本人学生も選ばれた。

 同社のコミュニケーション・マネジャー、アントネッラ・デ・シモーネは「衰退しつつある伝統技を次世代に引き継いでもらいたい。イタリアを代表するブランドの義務として行っている」と語る。

 日本でのコラボ例も増えている。イタリアの高級ブランド、ボッテガ・ヴェネタは一昨年、東京大学大学院で建築学を学ぶ学生向けに家具のデザインコンペを行った。クリエーティブディレクターのトーマス・マイヤーが東大で講義。最終的に3人の学生の作品が選ばれた。

 熟練の職人たちが家具を制作。完成したのはブランドの象徴、革のイントレチャート(メッシュ編み)をふんだんに使用した高級サイドテーブルだ。昨年のミラノサローネ国際家具見本市などで展示された。

 コンペを受け入れた千葉学・准教授は「建築家にとって家具デザインは重要な分野だが、それを最高にぜいたくな形で実現できた」と語る。

 LVMHグループも早稲田大学と共同で、「ラグジュアリー・ブランディング」をテーマとする寄付講座を12年4月から開講することを発表している。(竹端直樹)

■「技に触れる意義」RCAのW・ダグワーシィ教授

 ブリオーニとのコラボで、1年目にタキシード、2年目にトラベルジャケット、3年目の去年はシャツジャケットの作り方を習いました。

 ブリオーニは手仕事で一着を作る。肩や袖、身頃など各部分で伝統技を持つ熟練の職人に直接学ぶことは学生にとって有意義です。最初、この講義は専門的過ぎて、一部の学生には向かないかと思いましたが、サイズなど技術的な指示も伝わるデザイン画を書く必要性を知る機会にもなっています。

 こうした実学を大切にしようと、RCAでは他にカジュアル衣料のエスプリや、アクセサリーのスワロフスキーなどとも協業しています。

(聞き手 編集委員・高橋牧子)

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