九州電力の「やらせメール」問題などを調査している第三者委員会(郷原信郎委員長)は30日午後に公表する最終報告で、一連の問題は九電と佐賀県の不透明な関係が原因と認定し、古川康知事らへの政治献金などをやめるよう求める。ほかの電力各社の対応にも影響を与えそうだ。
九電幹部ら7人は、知事の政治団体に対して2006〜09年、計42万円を個人献金の形で寄付。昨年10月の政治資金パーティーでは、九電がパーティー券を買ったり関係会社にあっせんしたりしていた。ほかに、木原奉文県議(前県議会原子力安全対策等特別委員長)も09年、九電幹部ら9人から計6万5千円の献金を受けている。
こうした事実を踏まえ、第三者委は、電力会社と原発立地自治体との間で透明性が疑われるような行為をしないよう求める。パーティー券の購入や関係会社へのあっせん、事実上の企業献金との批判がある幹部らの寄付もやめるよう促す。
一方、玄海原発(佐賀県玄海町)のプルサーマル計画に関する県主催の公開討論会(05年12月)で、九電が仕込んだ「やらせ質問」は、九電の当時の経営トップだった松尾新吾会長が、知事の意向を忖度(そんたく)した結果だったと認定する。
九電は、公開討論会前に知事が「プルサーマルの賛成派もいないと議論が深まらない」などと話していたことから、やらせ質問や動員を計画。県と事前協議を繰り返し、やらせ質問の台本も作っていたという。
第三者委は「九電トップと知事の間に何らかの意思疎通があったと見るのが合理的」と判断。「(やらせ質問などを)九電トップが知らなかったというのは考えられない」などと指摘する。真部利応社長についても知事の関与を隠そうとしたとして、「不透明な企業行動を先導したと言うべきで、九電の信頼を失墜させた」と厳しく批判する見通しだ。(斎藤徹、多田敏男)