プルトニウム利用の柱となる高速増殖炉の実用化に向けた研究開発費について、文部科学省は2012年度予算の概算要求で今年度の100億円から7〜8割減らす方針を固めた。試運転中の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)については、維持管理費として今年度並みの約200億円を計上する。
東京電力福島第一原発事故を受けて、政府は来年夏ごろまでに原子力政策を見直す方針。その間、実用化に向けた技術開発を事実上凍結することにした。文科省は「エネルギー政策の方向性が決まらないなかで、研究を進めるわけにはいかない」と判断した。
試運転中の「もんじゅ」では、施設の安全対策や機能を保つための維持管理費が必要とし、予算を削るのは難しいという。現在は昨夏の部品落下事故の修復のため、停止している。
中川正春文部科学相は27日の閣議後会見で「来年度はもんじゅを維持する予算をつけて、新しい研究開発については1年休憩としたい」と話した。(佐藤久恵)