拙者はこうしてスポーツ自転車に乗り始めた(前編)


拙者はこうしてスポーツ自転車に乗り始めた

 何かと話題のスポーツ自転車。ロードバイクやマウンテンバイク(MTB)、クロスバイクといった、いわばママチャリ(シティサイクル/実用車)ではなくスポーツとしての走行に耐えうる機能や耐久性を持った自転車ですな。かく言う拙者もスポーツ自転車にハマって1年半くらいが経過した。

 現在もさらなる盛り上がりを見せるスポーツ自転車方面だが、「スポーツ自転車、おもしろそうだし、乗ってみようかな」と考えている人も少なくないと思う。ので、拙者が自転車に乗り始め、楽しみ、ハマり、そしてアレコレいろいろ感じた変化などを、ご参考までにひととおり書いてみるので、「ふーん、この人はこうだったんだ」的にご笑覧いただければと思う。

 拙者の場合、きっかけはウォーキングだった。健康診断の結果が良くなかったのでちょっと運動しましょうと始めたウォーキングだったが、10日もしないうちに「ウォーキングだと物足りない」みたいな気分に。風景見つつ歩くのは案外楽しいので、もっともっと遠くまで行きたい~いろいろ見たい~、と思うようになった。

 

こんな道をひたすら歩いていた意外にアップダウンがあったりつまり川辺の小道でウォーキング
いつもなら見られない風景も多々。観光気分で歩けて楽しい春先から始めたウォーキングなので、草花も多々見られた間もなく1回に10~15km歩くように。そして物足りなくなった

 そこで、死蔵していたスポーツ自転車でサイクリングをしようと思い立った。それまで、ウォーキングだと一回で10~15kmを歩いていた。ので、「サイクリングならこの3倍くらいはラクだろう」と根拠のない自信を持ち、いきなり約50kmの距離を走った。

 ……というか、片道23kmのサイクリングロードを勢いだけで終点まで走ったはいいが、その帰りはシャレにならない苦難の道のり。詳細はココに書いたが、我ながら無謀なことをしたものだと反省している。

入間川サイクリングロード(正式名称;埼玉県道157号川越狭山自転車道線)。全長約23kmで狭山市と川越市を結ぶ自転車道だ狭山市側の端。舗装された平坦な自転車道で、入間川沿いを走る。狭山市側は人が多く危険だったりする。川越市側は閑散ほぼ全線がこのように舗装されている走りやすいサイクリングロードだ。ただし道幅は(たとえば荒川CRのようには)広くない
春先はこのように花に囲まれた区間も多い。ただ、これらの草花は夏前には背が高くなり、見通し悪化で危険川越市側の端は入間大橋。入間川と荒川をまたぐ橋だ。この3kmほど下流で入間川と荒川が合流しているサイクリング開始時の自転車、GIANTのGreatJourney(旧型)。かな~り重装備でサイクリングをしていたんですな

 ギリギリ無事に帰宅し、「あ~初心者には初心者向きの距離ってモンがあるんだなぁ」と、痛い足腰とともにまさに痛感した次第。

 だがしかし、なーんなスゴくイイ気分♪ 自転車乗りつつ見た風景もステキだった♪ ここここれはイイかも~、と、なんか新しい楽しさの始まりを予感した。

 そして翌日、別のサイクリングコースへ出かけ、案の定、またもや玉砕した拙者であった。

 

走って楽しんで、健康にも

 自転車で走るのは楽しい。自転車なら、クルマや電車だと通れない場所へと容易に行ける。徒歩では無理な距離のところまで行ける。自転車で走ると初めての風景に多々出くわして、新鮮で、刺激的で、気分がいい。……てなコトは、多くの人がママチャリなどで既に体験済みだと思う。

 スポーツ自転車だと、さらに体験の幅を広げられる。たとえばママチャリとクロスバイクを乗り比べれば即わかるが、クロスバイクだと坂は軽く上がれるようになるわスピードは乗るわ同じ距離乗っても疲れが少ないわで、ラクに速く遠くまで行ける。つまり行動半径が広がる。ので、もっともっと新しい風景が見えてくる。

 拙者が死蔵スポーツ自転車に乗って2度も玉砕したものの、その後さらにスポーツ自転車に乗り続けた大きな理由は、風景だと思う。新しい風景のなかを走り抜けられて、その風景は時間帯や季節によって見え方が一変するし、細かいコト言えば自分の心持ちによっても大きく変わる。これが気持ち良くて新鮮でホントに刺激的。ストレスなんかスコーンと消滅する。

5月末、徐々に夏へと向かうサイクリングロード。梅雨前はスポーツ自転車のベストシーズンかもしれない荒川サイクリングロード上流右岸。人が少なくて最高!! 左岸はやや道が荒いが、やはり人が少なくて良い6月の「さくら堤公園」。桜の木の下をサイクリングロードが通っている。開花後は花見客で大混雑する
夏の終わりには濃い霧が出ることがある。見慣れたサイクリングロードがまったく別の表情を見せる11月にはサイクリングロード全体がきつね色になる。寒涼しくてカラリ。非常に走りやすい季節ですな拙者的ベストシーズンとも言える真冬。北風がツラいが視界は超クリア。爽快な気分で走れるのだ

 次はあっち方面を見たいなぁ。対岸の道はどんなかな? 県道はどうだろう!? と、走るたびに新しい興味の対象を見つけ、次回はその対象方面を走行……などと気の向くままに走っているうちに、自然と体が鍛えられていった。

 橋のトコロの猫ちゃんは本日居るかな~、的な呑気さで走っていて、ある日気づくんである。「あれ? そう言えばここまで休憩入れなくてもヘバらなくなったな」みたいに。また、足や腰も徐々に締まり始めた。拙者の場合は最初にズボンが緩くなった。

 心肺機能の向上も体感できた。相変わらず激坂上がればハァハァゼェゼェではあるが、上がった息も心拍も数十秒の休憩でサッと下がって整う。以前は朦朧としながら10分くらい休憩しないと回復しなかったものが、非常に短時間で回復するようになったと実感している。

 それ以上に鍛えられた(!?)のは、拙者の血液であった。以前の血液検査結果は赤字だらけだったが、現在はLH比(HDL/LDLコレステロールの比率)など含めて良好な値となっている。

 ただ、「足腰が強くなって」「心肺機能が上がって」「血液の状態が良くなった」のは、結果的なこと。純粋にこれらを目的としていたら別の方法を選んでいたように思う。正直なところ、自転車でもっといろいろな場所にもっと遠くに出かけちゃうし~と走っていたら、足腰と心肺と血液にボーナスがキてたよラッキっ♪ てな感じだ。

 なお、ご参考までに拙者の走行ペースを。平均して週に2~3回走り、一度の走行では30~60kmくらい走る。ただ、ときには一週間~半月走れないこともあるので、もうちょっと頻度が下がるかも!?

 それと、これからスポーツ自転車で走ろうとお考えの方は、できれば事前に病院へ行って健康診断などをお受けになったほうがいいと思う。

 拙者は受診→ウォーキング→スポーツ自転車という流れだ。最初は必要な治療などを受けつつウォーキングを始め、その後にスポーツ自転車で運動し始めた。

 もし健康診断すら受けていない場合、高血圧や脂質異常などの病気には気づかないだろう。その場合、急な運動が命取りになることもある。スポーツ自転車での走行は楽しい運動だが、夢中になればすぐに最大心拍に達したりもするし、当然、血圧も上がる。そういう運動を始めても大丈夫なのか、万が一のことまで考え、ぜひ事前の健康診断~受診を。

 

機材としておもしろいスポーツ自転車

 スポーツ自転車に乗り始めた頃、乗っていたのは前述のGIANT GreatJourney(ジャイアント グレートジャーニー)(旧型)だ。この自転車は、どちらかと言えば重い荷物を積んでゆっくり遠くへと自転車旅行するような目的に向き、サイクリングロードをスイスイ走るような自転車ではない感じ。

 実際、GIANT GreatJourneyに乗り始めて一ヶ月ほどで「この自転車、なんか重いし、推進力奪われてる気が」と感じ、買い換えた。今度のスポーツ自転車は、TREK(トレック)のPortland(ポートランド)というシクロクロス車(砂利道泥道も走破できる頑丈なロードバイク的自転車)だ。
 乗り換えてみたら、「ぜぜぜ全然違う!! スゲく走る!!」とチョー驚いた。

GIANT GreatJourney(旧型)。荷物をいっぱい積んで走るためのスポーツ自転車ですな。サイクリングロード走行にはやや不向きTREK Portland。道なき道をロードレースするという方向のシクロクロス車。頑丈。※写真はトレック社のウェブページより拙者が乗っていた状態。結果から言えば硬い乗り味だが、舗装路を効率良く走るのにもよく向くスポーツ自転車なのであった

 TREK Portland、もーぶっちゃけ速いんですっ(GIANT GreatJourneyと比べて)。ウソなにコレ!! 自転車が変わるとこうも変わる!? グイグイ進む~!! こんなスピード出たことない~!! スピード落ちない~!! 気持ちイイ~♪ てな感じなのである。

 が、乗車姿勢や使う筋肉が少々違うからか、これまで痛くなったことのない足腰部分が痛かったりシビレたり。ただ、これはTREK Portlandに乗るにつれ、間もなく解消されていった。

 しかしまあ、スポーツ自転車という機材を換えたら、距離感もけっこー変わった。これまで23km先の橋は「近くはない、ちょっと頑張らないと行けない橋」だった。が、TREK Portlandだと「休憩を入れずに行ける橋」となった。

 エンジン(拙者)は同じなのに、機材(自転車)を換えるだけでこうなるのか。こりゃオモシロい!! と、次いでもっと違うタイプのスポーツ自転車に手を出そうとしたが、まだまだド初心者ではあったのでTREK Portlandでしばらく走ることにした。

 TREK Portlandで積算4000kmくらい走ったろうか。秋を迎えた頃、TREK Madone(マドン)5.2という、わりと分不相応っぽいロードバイクを買った。一度カーボンフレームのロードバイクに乗りたかったのだ。じゃあ、せっかくなら、ある程度イイのを、と。

TREK Madone5.2。カーボンフレームを採用した本格的なロードバイク。※写真はトレック社のウェブページより車体重量は10kgを余裕で切る軽さ。軽くて速くてしなやかなバイクだ。※写真はトレック社のウェブページより拙者が乗っているTREK Madone5.2。体重110kgな拙者ですけど全然問題ナシ。みんな~体重重くても大丈夫よ~♪

 TREK Madone5.2に乗った印象は、いきなり「!!」であった。えっナニどうなってんのコレ、道路が再舗装された? 乗り心地が超イイんであった。レース指向の高級ロードバイクだからある種スパルタンな感じかと思ったら、ラグジュアリーバイクって感じ!? 長距離走っても体が疲れにくい気がしまくりであり、実際そうであった。

 あと、疲れにくさとか本格的なロードバイクとかからくるモチベーションのためか、拙者におけるTREK Madone5.2は「最も高い速度で走れるロードバイク」でもある。不思議。我ながらプチ信じられない速度で巡航できちゃうことがあったりする。超不思議。

 なお、この後、Cannondale(キャノンデール)の2011 CAAD10(キャドテン)1 DURA ACEも購入。改めてアルミフレームのロードバイクはどんなのかな、と興味を持ったからだ。

2011 Cannondale CAAD10 1 DURA ACE。アルミフレームのロードバイクだ。※写真はキャノンデール社のウェブページより拙者が乗ってる状態。ヘンなところにボトル付けてるのはご愛敬。ここに付けてると拙者的にはヒジョーに便利なんです各パーツはわりと高級品を採用。コストパフォーマンスは非常に高いロードバイクだが、拙者との相性が若干……みたいな

 これもまた拙者のパワーを効率よくスピードに換えちゃうステキなバイクであったが、どーも全体的にTREK Madone5.2のほーが好きかもということで、現在はMadoneにばかり乗っている。

 


スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。

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2011/8/15 06:00