「やらせメール」や住民説明会への動員など九州電力の不祥事を巡る調査妨害問題で、玄海原子力発電所(佐賀県)の説明会関連資料から、佐賀県議らの個人名がある文書だけが大量に抜き出され、捨てられようとしていたことがわかった。佐賀支社が本社の原発部門に資料廃棄の指示を仰ぐなど、組織的な妨害の可能性が強まっている。
九電の第三者委員会(郷原信郎委員長)は9日、原発本部の中村明副本部長の指示で、2005年にあった玄海原発の説明会資料の一部が廃棄されていたと発表。本社の原発本部のファイルにあった一部文書が捨てられ、佐賀支社でもファイル15冊が処分される直前に見つかったとしていた。
九電幹部によると、改めて社内で調べたところ佐賀支社では、ファイル15冊から厚さ約5センチ程度(数百枚程度)の文書を捨てようとしていた。第三者委に情報提供があり、処分直前に確保された。県議や地元関係者らの面談内容などが記載されていたとみられる。中身が知られると問題になりそうなものを選んで、処分しようとしていた格好だ。
今月5日に社内の調査担当部門から関連資料を求められた佐賀支社の原発担当の課長が、「全部提出していいのか」と中村副本部長に相談。個人情報のあるものは除くよう指示を受けており、課長らがファイルから文書を抜き取って、捨てようとしていた可能性が高いとみて調べる。