【8月10日 AFP】英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は10日、国内各地で暴動が相次いでいることを受け、警察に放水銃の使用を許可することを明らかにした。

 暴動対処のため前日に続いて開かれた緊急閣議「COBRA」後に首相官邸前で記者会見したキャメロン首相は「われわれは反撃する必要がある。そして反撃は進行中だ」と話し、「24時間前に通知することを条件に放水銃の使用を可能にする危機管理計画を発動した」と述べた。

 放水銃は、プロテスタントとカトリックの抗争が激化した北アイルランドで使われたことがあるが、英本土で使用が認められるのは初めて。今回の暴動は、来年に迫ったロンドン五輪の治安対策にも影を落としている。10日にロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で予定されていたイングランド対オランダの親善試合もキャンセルされた。

 キャメロン首相は、1万6000人の警察官と略奪や放火などから地元を守ろうという自警団のおかげで、ロンドンの状況は10日朝までにかなり沈静化したと述べたが、暴動はマンチェスター(Manchester)や英国第2の都市バーミンガム(Birmingham)などの都市に飛び火した。

■バーミンガムで新たに3人死亡

 バーミンガムでは10日午前1時(日本時間同日午前9時)ごろ、アジア系の若い3人の男性がひき逃げされて死亡した。

 死亡した人の家族や複数の目撃者によると、3人は近所の商店街を略奪から守ろうと集まっていたグループに加わっていた。

 死亡した人の友人は、死亡した男性たちがモスクを出て道路の端に立っていたところ、車が突っ込んできたと話した。別の目撃者によれば、ひき逃げの直前に、近くの通りに若者たちが集まって車が放火されたため、商店街の略奪を心配した地元の人たちが集まってきていたという。

 救急隊員によると、事故現場には約80人の人が集まっていた。2人はその場で死亡が確認され、残る1人は搬送先の病院で死亡した。病院前には、運ばれた男性を心配して約200人が集まった。そのうちの1人はAFPの取材に、商店街を守っていたグループの前を数台の車が通り過ぎたが、そのうちの1台が引き返してきて猛スピードで歩道に乗り上げ、3人を空中にはね飛ばしたと語った。

 警察によると死亡した3人の年齢は20、30、31歳だった。警察は容疑者の男(32)を逮捕し、殺人の疑いで捜査している。現場近くではひき逃げをしたと見られる車も見つかっており、近く鑑識捜査を行う。(c)AFP