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備蓄米入札、農家が敬遠 震災で相場上がり値踏み

2011年6月18日19時12分

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 凶作や天災に備えて政府がコメを買い上げる「備蓄米」への入札を、農家が敬遠している。東日本大震災の影響で、2011年産のコメ相場が高くなりそうだと値踏みしているためだ。

 農林水産省が17日に公表した11年産の第6回入札の結果は、約13万トンの提示に対し、落札は50トンどまり。5月末から6月初めの4、5回目の入札は、ともに落札ゼロだった。

 備蓄米は今年から買い上げ方式を変更。政府が買い上げる量を毎年20万トンに固定し、5年後に飼料用米として放出するルールに変わった。裁量的な買い上げによりコメの需給に影響を与えないための政策変更で、農業団体も要望してきた。

 ところが、農水省は2月以降6回の入札をしたが、落札は計7万4千トンにとどまり、11年産の買い入れ目標20万トンを大きく下回っている。農水省は「新米が出始めるまでの端境期にもかかわらず、流通業者間で10年産米の相場が上がっている影響が大きい」(食糧部計画課)とみている。

 関東産コシヒカリの相場は1俵(60キロ)あたり1万7千円で、前年同期より4千〜5千円高い。震災後の消費者の買いだめのあおりが尾を引き、在庫がない中小の米卸や個人商店がコメの確保に走っているためだ。

 異例の相場高を受け、今秋に収穫する11年産は、高値で取引されるとの期待感が農家に広がった。備蓄米に回すなどの生産調整に応じず、作れるだけ米を作った方がもうかるとの見方が出ているようだ。

 備蓄米の入札は、今月末の戸別所得補償制度への申請期限を前に、23日にあと1回開く予定。被災県は8月末まで申請期限を延長したため、目標の20万トンに満たない場合、被災県を対象に追加の入札を検討する。

 ただ、産地ではコメの作付けはほぼ終わっており、目標の達成は難しそうだ。

 11年産米の全体の生産量が大きく減る見通しにはなく、コメ不足に陥る状況にはほど遠い。このため、農水省は備蓄米の不足分13万トンが、そのまま過剰作付けにつながりかねないと懸念している。(大津智義)

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