「原発重視」の日本政府に化石賞 環境保護団体が批判
ドイツ・ボンで開催中の気候変動枠組み条約の特別作業部会の会場で、各国の環境保護団体でつくる「気候行動ネットワーク」は11日、地球温暖化対策として引き続き原発を重視する姿勢を示したとして、日本政府に対し、交渉で後ろ向きな発言をした国を対象とした「化石賞」を贈った。
京都議定書では、先進国が発展途上国で実施した事業によって削減した温室効果ガスを、自国の目標達成向けにカウントできるCDMという制度を定めている。化石賞の授賞理由は「CDMを改正し、原発も対象にすべきだとの従来の主張を繰り返した」という点。
原発がCDMの対象になると、温暖化対策を理由に原発導入が進む可能性がある。だが原発は事故の危険があり、放射性廃棄物がたまるため、対象にすることに否定的な意見も強い。
関係者によると、日本代表団の政府関係者が非公開の会議で、そうした意見を主張したという。
ネットワークは、11日は東日本大震災と福島第1原発事故発生から3カ月に当たり、日本では大規模な反原発デモがあったと指摘、「日本政府が原発をCDMに組み込もうという考えを変えないことは信じ難い。国民の声を聴き、直ちに立場を改めるべきだ」と厳しく批判した。
特別作業部会は、京都議定書に定めのない2013年以降の温暖化対策の枠組みを話し合うため6日から開かれている。〔共同〕