古川知事の発言メモを九電幹部が削除要請 再稼働容認の姿勢明確

8月8日、西日本新聞トップニュースより抜粋

中立装い再稼動?
古川知事発言メモ問題 あす県議会特別委
会見拒否、真意どこ

九州電力玄海原発2、3号機の再稼動問題で、九電幹部と会談した際の古川康知事の発言を記録したとされるメモの衝撃が広がっている。再稼動に有利に働く方策を「国に進言」し、九電側に「県議への働き掛け」を求めるといったメモからは、さまざまな方法を講じて再稼働に突き進む知事の姿が浮かび上がる。知事は報道陣の取材に応じず、9日の県議会原子力安全対策等特別委員会で説明するとしている。

「僕は客観的に判断したいと思って、そのどちらの方ともお目にかかっていない」。古川知事は自身のホームページに掲載した6月14日付のコラムでこうつづり、原発推進派とも反対派とも距離を置いて再稼動の是非を判断する姿勢を強調。同様の発言は県議会などでも繰り返してきた。「安全性を最優先した判断をする」とも語ってきた。

しかし、国主催の原子力安全対策県民説明番組を5日後に控えた6月21日、古川知事は九電幹部と知事公舎で会談。その際の知事発言とされる九電幹部のメモには、「再稼動ありき」という知事の立ち位置が鮮明に示されている。

 「国際原子力機関(IAEA)から緊急安全対策を評価するコメントを出してもらえるよう国に進言した」。事実ならば、再稼動に向けた環境づくりに、知事が積極的に動いたという見方ができる。「自民党系県議にいろいろなルートで働き掛けるよう支持者にお願いしてほしい」。県議会(定数38)の最大会派、自民党県議団(29人)への議会対策を求めた内容となっている。

番組について、知事は「出演者の1人は商工会議所の専務理事」「長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えている」と語ったとされる。いずれも5日後の番組で実現しており、知事の深い関与が疑われる。


原発やらせメール 佐賀県知事発言メモ、削除要請 九電幹部、古川氏に配慮
(8月8日 毎日新聞)

 ◇メール送信後

 佐賀県の古川康知事が九州電力の「やらせメール」を誘発する発言をした問題で、九電佐賀支社長が作成した知事発言のメモが同社原子力部門の約100人にメール配信された後、同社幹部がメールの削除を要請していたことが関係者への取材で分かった。同社の第三者委員会(郷原信郎委員長)は、発言内容が社内外に広まり、古川知事に影響することを恐れたため削除要請したのではないかとみて詳しい経緯を調べている。

 メモは、6月21日に古川知事と会談した原子力担当の段上(だんがみ)守副社長(当時)が、同席した佐賀支社長に作成を指示。副社長が部下の担当部長にメモを回し、課長級社員がメールに添付して原子力部門の社員約100人に配信した。メモでは、国主催番組にネットを通じて意見を出すことを要望するなど、玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機再稼働を容認する古川知事の姿勢が明確になっていた。

 ところが九電関係者によると、配信後まもなく、同社幹部がメールを受信した社員にメール削除を要請していた。別の同社幹部は「メモは知事が作成したものでなく、知事に迷惑がかかったらまずいと判断した」と述べ、古川知事への配慮があったことを認めた。

 一方、知事発言メモは、眞部利應(まなべとしお)社長の秘書にも送信されていたことが分かった。眞部社長は今月4日の佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会で「メモを見たのは(やらせ問題発覚後の)7月6日か翌7日だった」と説明していたが、社長がメモの存在を発覚前から認識していた可能性が浮上することとなり、従来の説明との整合性が問われそうだ。

2011年8月8日


佐賀知事 「県議に働き掛けを」 玄海原発再開 九電メモ、事実と一致部分も
(2011年8月7日 西日本新聞)

 九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、九電幹部が作成した古川康・佐賀県知事の発言メモの概要が6日、明らかになった。「脱原発」を掲げる菅直人首相の存在が再稼働のリスクになるとの見方や、原発の緊急安全対策について国際原子力機関(IAEA)に評価してもらうように国に求めていることなどを明記。メモ通りであれば中立を求められる知事の政治姿勢が厳しく問われそうだ。

 古川知事は番組放送5日前の6月21日、当時の副社長ら九電幹部と佐賀市の知事公舎で面談。その際の知事発言を、同席した佐賀支店長(現・佐賀支社長)がメモで残していた。メモは22日に九電社内にメール配信された直後、削除要請があったという。

 関係者によると、メモはA4判2枚で「古川知事の発言のみ記載」として箇条書き。国にIAEAから国の緊急安全対策を評価する談話を出してもらうよう進言したことや、原発再稼働に向けた国側のリスクが菅首相とみているなどの記述があった。

 さらに、「九電へのお願い」として、6月26日の国の説明番組への再稼働容認の投稿に加え、県議への働き掛けも要請。最大会派の自民党系県議が運転再開に理解を示す一方、支持者から原発への不安の声を受けていると指摘した上で「いろいろなルートで働き掛けるために支持者にお願いしてほしい」と求めた。

 九電は6日、こうしたメモの概要について「当社にある古川知事との面談メモと異なるものではない」(社長室)と認めるコメントを発表した。

 一方、古川知事は同日午前、同県唐津市内で記者団に、県議への働き掛け要請などについて「何を根拠に言っているのか分からない」と説明を拒否。古川知事は7日未明、佐賀市内で記者団に「9日の県議会特別委員会できちんと説明したい」と話した。

=2011/08/07付 西日本新聞朝刊=

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