小売りやアパレル業界が、早くも冬の「ウオームビズ」商戦に動き出した。電力不足で消費者の節電意識が高まったが、これが冬も続きそうだからだ。早めのアピールで関心を集め、販売増につなげようとしている。
ユニクロは7月25日、全国で機能性肌着「ヒートテック」の販売を始めた。昨年は、冷房による寒さ対策として夏でも着たいという声に押されて8月16日に発売した。今年はさらに3週間早い。
担当者は「節電で暖房の使用を抑えれば寒い冬になってしまう。機能性肌着の役割は例年以上に高まる」と期待する。
カジュアル衣料のしまむらも1日、北海道内の店で昨年より2週間早く機能性肌着「ファイバーヒート」の販売を始めた。前の冬は全国で約3千万枚を売ったが、今度の冬はさらに増やすという。
小売り大手のイトーヨーカ堂も7月29日、機能性肌着「ボディヒーター」を発売した。今回は腹巻き付きのペチコートや、肩パッド付きの商品も追加。前の冬の約3.7倍の112種類に増やす。販売目標は2.2倍の1千万枚を見込んでいる。
クールビズに比べてこれまで影の薄かったウオームビズだが、業界は「夏よりも単価が高い商品が多い。売り上げへの効果はより大きい」(アパレル大手)と定着に期待する。販売計画は目白押しだ。
百貨店の高島屋は早ければ8月中に、保温性が高いビジネス靴などを売る計画だ。アパレル大手の三陽商会は9月中旬から、保温効果の高い綿を入れたコートを売り出す計画だ。中綿が薄く、軽いのに保温性が高い製品という。肌着で注目された機能性素材を、コートの分野にも広げるねらいがあるという。(南日慶子)