2011年7月16日13時15分
16日公表された関西電力大飯原発1号機(福井県おおい町、117.5万キロワット)のトラブルで、約4カ月続いた異例の「調整運転」が幕を閉じた。地元福井県の幹部は停止中の他の原発と同様、現状では動かすことは認められないと明言。夏の電力需要のピークを目前に、関電の供給能力は厳しさを増すとみられる。
福井県は午前10時、安全環境部の桜本宏企画幹が県庁で記者会見。「原子炉を停止する以上、今回のトラブルの原因究明や対策を終えただけでは、再稼働はできない」と述べ、大飯原発1号機も、検査で停止中の他の原発と同様の扱いとする姿勢を示した。すでに関電にそう伝えたという。
形式的には検査中にもかかわらず、100%の出力で運転する調整運転を黙認してきた同県。桜本企画幹は「最終検査前に売電を認める調整運転制度そのものが、今回の混乱をもたらしたのではないか」と現行制度に疑問を投げかけた。
同県はこれまで、地震の揺れや高経年化(老朽化)が福島第一原発事故に与えた影響や、浜岡原発以外の原発を安全と判断した根拠を明らかにするよう国に要求。再稼働を判断するための暫定的な安全基準を示すよう求めている。桜本企画幹は「今後は再稼働が大きな課題になる。安全基準を早期に示す必要があると強く言っておきたい」と改めて国に求めた。
今回のトラブルで同県内の商業用原発13基のうち7基が停止し、来週中にさらに2基が定期検査に入る。しかし、桜本企画幹は「電力需給と安全とは別次元の問題。安全を最優先する」と述べた。(笹川翔平、足立耕作)