2011年7月13日5時8分
九州電力が近く公表する「やらせメール」問題の調査報告書で、原子力発電部門トップだった前副社長と「ナンバー2」の前常務執行役員(当時原子力発電本部長)が、玄海原発運転再開をめぐるテレビ番組に賛成意見を送るよう実質的に指示していたことを認めることがわかった。「やらせ」は原発部門が組織的に関与したことを明記し、関係者を処分する。
原発部門の課長級社員は6月22日付で「再開容認の立場で県民の共感を得る質問を」などとグループ社員らにメールで指示。すでに100通以上の賛成意見がメールなどで送られていたことが判明している。
社内調査に対し、前副社長は「やらせは指示していない。(課長が指示するとは)考えが及ばなかった」と否定。だが、前副社長が部下の執行役員らに対し、「(番組に)協力してやれ。議論を盛り上げてほしい。よろしく頼む」と命じていたことを、聞き取り調査などで確認した。
番組は出席者が事前に選ばれた7人に限定され、視聴者の意見はメールやファクスで募集した。こうした状況から「盛り上げろという指示は賛成意見を送れと言うのと同じ。意味するところは、わかっていたと認めざるを得ない」(同社幹部)と判断した。
報告書では、課長の「やらせ」指示を、前副社長や前常務は6月26日の放送前に知りうる状態にあったのに、問題視せずに黙認していたことも示す。番組を企画した経済産業省は厳格な調査を求めており、原発部門の上層部が組織的に関与したことを認める方向だ。
ただ、社内には経営責任を厳しく求められることを避けたいとする意向もあり、最終的な表現をめぐって調整が続いている。