国内

60歳原発作業員の死亡 人災だったと原発潜入ライターが報告

 福島第一原発の記事が氾濫しているが、記者自身が「中に入って」書かれた記事はいまだない。そんななか、ライターの鈴木智彦氏が、第一原発で作業員として働きながらレポートする。

 * * *
 原発での作業について、あちこちで盛んに暑い、暑いと報道されているのは、作業員にそれなりの装備が必要だからだ。たとえば溶接を担当すると、肌着が汚れないようまず布のつなぎを着込み、その上に防護服を着る。さらにその上から火花が飛んでも問題ないような作業着を着なければならない。手にはゴム手袋を二重にはめ、その上に革手袋をして、これに防毒マスクを被る。気軽に水分補給もできずマスクも外せないから、どうしたって熱中症になる。

 5月14日、原発事業に新規参入してきた不二代建設(福島県いわき市)で働く60歳の作業員が、電動ノコギリの搬送作業で死亡した。作業員が働いていた集中ラド(廃棄物処理施設)では、それぞれの階ごとに協力企業が違っており、2交代の24時間態勢で作業が行なわれている。

 昼夜の分担が平等になるよう、午前2時から14時、午前10時から22時までに分担され、それぞれが都合いい時間に作業をするシステムだ。事故前日、熱中症で倒れた作業員がいたのだから対策はとれたはずなのに、翌日の作業も合計4時間ほど行なわれた。

 過酷な作業のため他の業者は自己責任でマスクを外し、放射能より熱中症対策を優先していた。しかし、新規参入組には経験や知識がないため、過剰に放射能を恐れていたのかもしれない。この事故も起きるべくして起きた人災だろう。

 死亡事故が起きた以上、今後、長時間の勤務は敬遠され、炎天下の時間を選んで作業する業者もいないと推測される。となれば、いまよりいっそう作業のペースは落ちる。

※週刊ポスト2011年6月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン