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■第11回片桐三晴個展 フランス 地中海の光もとめて (5月24日で終了)

2009年05月24日 23時25分33秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の片桐さんは、2、3年に1度のペースで海外(沖縄のこともありましたが)を旅行し、その印象を、あざやかな色彩の絵にして、スカイホールで個展をひらく-ということを、ずっと続けています。
 今回の旅先はパリとフランス。
 ただし、今回はただ滞在していたのではありません。
 以前から大好きだった、ロシア出身でフランスで活躍した画家ニコラ・ド・スタールの足跡を追う旅でもあったのです。
 片桐さんは北大に研究生として3年間在籍して、このほど、彼の伝記を1冊の本にまとめ、自費出版しました。
 冒頭の画像が、その本です。
 ちなみに、本の表紙につかわれているのは、南仏アンティーブにある彼のアトリエ前で撮った写真。おなじ場所を描いた絵が、オマージュにみちた「スタール」で、冒頭の画像の中央です。
 その左には、アトリエの建物をモティーフにした「アトリエ」です。
 彼は、その建物から身を投げて、自らの命を絶ちました。1955年。41歳でした。

 絵が好きで、本まで出してしまうなんて、すごいと思います。

 スタールが絶命したところには、あたかも彼がつい先ごろ身を投げたかのように、新しいバラの花束と、ワインが入ったグラスが置かれていました。
 片桐さんは、1枚しかシャッターを切れなかったそうです。

 そのときの話をきいて、宮沢賢治が白墨で「下ノ畑ニ居リマス」と書いた筆跡がいまでも旧宅に残っているという話を思い出しました。現地の高校生たちがときどきなぞっているそうです。
 アンティーブや花巻で、画家や詩人はいまも生きているといえるのかもしれません。

 いつもはスカイホール3室のうち1室だけを借りていますが、今回は2部屋を使用し、半分のスペースを過去の旧作26点の展示にあてています。
 たしかに、初期の作品を見ていると、単純な構図と鮮やかな色と色の組み合わせが、スタールの影響を受けているという感じもしました。 




 さて、会場でいちばん大きな作品が、「ニースの風・朝」(左)と「ニースの風・夕」の2点。
 バルコニーから海を見る女性の後ろ姿という、なかなかゴージャスな感じの絵ですね。
 「南仏の朝と夕の風を感じてもらいたくて」
と片桐さん。
 よく見ると、手すりが途中で切れて前後にジグザグしています。それほど違和感がありません。片桐さんの、キュビスムへの傾倒があらわれていると思います。


           

 左端は「あかね空」。
 セーヌ川の上空に赤や黄色などさまざまな色が置かれています。
 岸恵子の本の題から取った題ですが「こんなにいい天気じゃなかったんですよ、ほんとは」と片桐さん。

 中央の「サンシャイン」「ムーンライト」は、ルーブル美術館やノートル・ダム寺院のステンドグラスを題材にしたもの。
 縦に長いキャンバスは片桐さんがよく用いるカタチです。


 出品作のうち新作は次のとおり。
「青のフランス」F8
「白のフランス」F8
「赤のフランス」F8
「トコトコ・モンチナイト」SM
「海へ」SM
「トンネルの向こう」F15
「ポンヌフ橋」F30
「ムーランルージュ」F60
「あかね空」F30
「サンシャイン」F8×2
「ムーンライト」F8×2
「地中海」F15
「ニースの風・朝」F100
「ニースの風・夕」F100
「夕景」F15
「ひまわり」F10
「花の道」F15
「アンティーブ」F20
「アトリエ」F30
「スタール」F10
「メモリアル」F4


2009年5月19日(火)-24日(日)10:00-19:00
スカイホール(中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階 地図B)


□HAREBARE GALLERY http://www005.upp.so-net.ne.jp/harebare/

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