札幌時計台ギャラリー、今週のB室は、道展日本画部の会員、北口さつきさんの個展です。
札幌市内の高校の教壇に立ちながら、日本画を描き続けています。
北口さんというと、豪奢な桜の絵と、存在感ある女性の作品が思い浮かびます。
北口さんの女性像の何が良いかといって
「こびてない」
ところだと思います。
キャリアウーマンみたいに肩ひじ張ってるわけではありませんが、しっかりとじぶんの二本の脚で立っているというイメージがあるのです。
今回の個展で意外だったのは、風景画が2点あったこと。
とはいえ、人物の周囲に描かれる植物が大きく配されているので、それほど違和感はありません。
冒頭の画像は、屏風型の作品で「春~稚咲内」。
稚咲内(わっかさくない)は、宗谷管内豊富町の海岸部の地名で、筆者は行ったことがありませんが、海岸林と湿地帯、原生花園が広がる最果ての地で、一度訪れたみたいところです。
この絵の中心に描かれた山は、対岸に見える利尻富士(利尻島)。
題にあるとおり、ミズバショウなどが咲き誇り、長く厳しい冬を終えて新しい季節が訪れたことに対する喜びが感じられる作品です。
とりわけ、画面全体に銀色のチョウが舞っているのが、とても華やかだと思います。
「羊蹄にて」。
やはり北口さんにはめずらしい風景画ですが、バックの羊蹄山、右の木、左手前の草花は、遠近法に合わせて布置されているわけではありません。
現実の色とは全く異なる赤や紫を配した色彩感覚がすてきです。
左の壁中央の2点は「ラピスの女(ひと)」で、おなじモデルの女性が、同一のポーズをとっています。
ただし、左側は群青の服を着て、右側は上半身裸です。
右側の絵では、背景と首飾りが群青色です。
また、いずれの絵でも、ピアスや指輪が目の覚めるような青をしています。
ラピスラズリは高価な青の顔料です。北口さんが本物のラピスラズリを使っているのかどうかは聞きそびれましたが、人間の精神の深みへと降りていくような、強い印象を与える青です。
画面奥の「桜2009」は、13のパネルを連ねた大作。
上弦、満月、下弦と三つの月が、散り始めた桜の図に添えられています。
へたな形容詞は不要な、強くて美しい作品です。
なお、左手前は「女(ひと)~黒と白の中で」。
いわゆる裸婦像はこの1点だけでした。
このほか、イチョウの葉をあしらったノースリーブのオレンジ色のドレスを着た女性がモデルの「神無月へ」、大きな白いマフラーを巻いた女性を描いた「as it is」、「季節が変わるころ」「save our ship」「沈黙」が出品されています。
2009年8月3日(月)-8日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
□http://satsuki-kitaguchi.com/
□ブログ「ARTな広場」
■第23回北の日本画展(2008年)=画像なし
■北口さつき展(2007年)
※以下、いずれも画像なし
■06年の個展
■北海道教育大学札幌校日本画展(04年)
■第18回北の日本画展(03年)
■02年の個展
■01年の個展