首都圏のガソリン品薄、月末に解消へ 食品も需給改善
東日本大震災による生活物資の不足問題。首都圏では月末にガソリンの品薄が解消される見通しとなり、飲料水や家庭紙など食品・生活用品の買いだめも収まりつつある。ただ被災地は一部で改善しつつあるとはいえ、なお深刻だ。関西などでは首都圏に遅れて品不足が発生しており、生産・物流機能の早期回復と強化に加えて、消費者の冷静な対応もカギとなりそうだ。
東京都杉並区のある給油所は20日、車の行列がピークだった先週半ばの半分以下に減った。ガソリンや軽油の供給量は「安定しつつある」(都内の燃料会社社長)。ドライバーの利用手控えもあるが、最大の理由は全国で製油所の稼働が正常化してきたことだ。
首都圏最大の精製能力を持つ東燃ゼネラル石油の川崎製油所(川崎市、日量33万5千バレル)はフル生産に入り、JX日鉱日石エネルギーの根岸製油所(横浜市、同27万バレル)も近く再稼働する予定。月内にも国内製油所の生産量は地震前の約8割の日量340万バレルまで回復し、需要(約330万バレル)を上回る見通しだ。
食品・生活用品も首都圏の品薄は解消に向かっている。イトーヨーカ堂は水やコメの調達量が震災前を上回り、配送車の燃料手当がつき物流も回復。大手食品スーパーのマルエツは「週末に一部を除き食品の品薄はほぼ解消できそう」という。
ただ乾電池は東京電力の停電を受け、家電量販店では買いだめが続く。もっとも震災直後に客が殺到したような混乱はなくなり、「落ち着いている」(ビックカメラ)。
政府が買いだめを控えるよう呼びかけているほか、メーカーによる増産と物流の再構築が奏功している。ティッシュ・トイレットペーパーは西日本に拠点が多い製紙大手の供給能力は十分にあり、王子製紙などがフル生産。紙おむつ・生理用品はユニ・チャームや花王が四国の主力工場などを3連休も稼働させ、首都圏の小売店向けトラックの配送回数を増やしている。乾電池はパナソニックやFDKが工場の勤務シフトを見直すなどして増産体制を敷く。
一方、品不足は被災地・首都圏以外でも広がっている。メーカーが東日本への商品供給を優先し、関東の家族に送る電池などを買い求める人も増えているためだ。
関西地盤のスーパー、イズミヤは水や乾電池のまとめ買いを控えるよう店頭で告知し、一部は購入数を制限している。富山県を地盤とするドラッグフジイ(高岡市、藤井均社長)も、各店から本部に乾電池や灯油用ポリタンクが売り切れたとの連絡が入っている。