どうして「Twitterやりなよ」って言わなかったのか、「Skype便利だよ」って勧めなかったのか……。地震が起きた後、仙台に住む家族からの連絡を待ちながら、ずっと後悔していました。
でも、本当は自分でも理由はわかっていました。それはただ単に「面倒くさかった」からでした。インターネットに疎い相手に「Twitterがどういうものか」を説明するのは、かったるい。「やってみるとわかるよ」という説明で納得してくれない相手を説得するのも面倒くさい。だいたい日々の生活を掌握されるのもわずらわしい。

ところが!
これらの面倒を回避しつつ、インターネットに疎い家族を相手にTwitterを<第三の連絡手段>として使う方法があったんです。


ヒントになったのはTwitterで偶然見かけた@kentplusさんのアイディア
「非公開アカウント一つ作る⇒IDとPWを親戚一同と共有⇒ログインして書込むなり閲覧」し、Twitterをインスタント掲示板として使うというものです。

この方法ならフォロー・フォロワーの概念を説明する必要はありません。こちらでアカウントをとり、向こうにはログインしてもらうだけだから、登録にまつわる負担は軽減できます。ただ、問題は「TwitterのIDとPWを全員で共有して、家族の連絡網にしたい」ということをどう伝えるか。


【1】非公開アカウントを作る

私が家族とTwitter版連絡網を作ったのは3月15日。
ようやく電気が復旧したという知らせがあった翌日のことです。携帯メールは問題なくやりとりできるようになりつつありましたが、ネット環境は不明。そのため、「携帯電話のみで読み書きできる」を大前提に考えました。ふだん使い慣れていない人からすると、大文字小文字を組み合わせてあるだけで十分ストレス。IDは全部小文字で、パスワードも家族の名前など、シンプルで覚えやすいものにするのがおすすめです。設定で「ツイートを非公開にする」を選ぶと、非公開アカウントのできあがり。



【2】携帯電話用ウェブサービスに登録

「携帯電話 ツイッター」などで検索すると、携帯電話からTwitterを使うときに便利なサービスがたくさん出てきます。私が選んだのはモバツイ。あらかじめこちら側を登録認証しておくことができ、向こうは認証済みURLをクリックし、パスワードを入力するだけとシンプルさが決め手になりました。


【3】お知らせメールを自分の携帯電話宛に送る

メールの文面が見やすいかどうかをチェックすると同時に、実際に携帯電話用WEBサービスにログインし、使い勝手を確認します。私が書いた文面は以下の通り。



家族の連絡・情報共有用のツイッターアカウントをとりました。

使い方は下記のとおりです。
◆携帯の場合は http://aaaaaaaaaa をクリック。
 パスワード欄に「bbbb」と入力すると、
 中身が見られるようになるはずです。

◆PCの場合は http://twitter.com/XXXXXX
 ID:XXXXXX パスワード:bbbb
でログインできます。
(※URLやID、パスワードはダミーです)



今思えば、最初の一文を「家族の連絡・情報共有用の掲示板をつくりました」と
すれば、「Twitter」や「アカウント」といった、耳慣れない単語を使わずに説
明できたな、とも思います。


【4】補足説明をTwitterに書き込む

メールでは、ログインするために必要な最低限の情報のみ送ります。「文字数は140字以内」や「IDとパスワードを知っている人だけが読み書きできる」といった情報はTwitterに書きます。これらが役に立つのは「Twitterにログインして閲覧する」というハードルをクリアできた後のことだからです。また、コメントが2〜3つ書いてあることで、次の人が書きやすくなるという効果もあります。発言の頭にカッコ書きで名前を書く(例:【真奈美】)のようにフォーマットを決めてあげると、書きやすいようです。


【5】急かさずに待つ

メールを送り、補足説明を書いたら、あとは待つだけ。
焦らず、騒がず、「書いてくれたらラッキー」くらいの気持ちで待ちます。つい<何かしたい>という気持ちにかられ、役に立ちそうなアカウントをフォローしたくなるかもしれません。例えば、地方自治体のアカウントや震災情報。こうしたものを厳選してフォローしておくといいという意見もありました。ただ、私は他のアカウントはフォローしませんでした。家族がどういう状況下で、どのような状態なのかがわからないため、「こんな情報が欲しい」というリクエストがあってからにしようと思ったからです。


携帯メールでURLを送ってから約15分後、母からの最初の書き込みがありました。その後、ようやく実家から自宅に戻れたらしい弟から「アパート掃除中なう!」。一緒に設定できたり、電話でサポートできる環境であれば、もっとラクにできるはず。被災地に家族がいて、携帯メールでスムーズにやりとりできている方もぜひ。うまくいけば、緊急連絡手段をひとつ確保できるだけではなく、遠く離れた家族と一緒にいられる<場>がつくれます。(島影真奈美)

●追記●
URLはそのままコピー&ペーストしてもいいのですが、URL短縮サービスを使うと、
さらにネットに対する忌避感を軽減できます。私は「bit.ly」http://bit.ly/で
短縮URLをつくりました。英語のサイトですが、登録不要で使い方も簡単。入力
欄(「Shorten Links Here」と薄い字で書かれています)に短縮したいURLを貼
り付け、「Shorten」ボタンを押すと、短縮URLがゲットできます。