沖縄を舞台に、お互い崖っぷち状態の男女が出会う映画『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』で、主人公・ヨンウンを演じる、イェソン。アジアの人気男性グループ「SUPER JUNIOR」の人気メンバーとして知られる彼を、俳優として“青田買い”してみました。

歌手になったきっかけは、母と弟の応募

――幼い頃から、歌手を目指していたのでしょうか?

 昔から僕は歌が好きでしたが、もともと歌手になりたいとは思っていませんでした。その代わり、カセットテープが入ったミニコンポがあったので、それを使って遊んでいました。たとえば、もともとある曲の歌詞を変えて、その歌声をテープに録音していました。

――それでは2001年、今の所属事務所(SMエンターテインメント)が主催した「SM青少年ベスト選抜大会」に応募することになったきっかけは?

 僕が歌好きなことを知り、母と弟が大会に応募したんです。当時、母は「ウチの息子はTVに出ている歌手と同じぐらい歌が巧い」と思っていたようですが、アルバイトして学費を稼いでいた僕としては、そんな簡単に歌手にはなれないと思っていました。だから、大会に出場したときの僕の心境は、歌手になりたいというより、もし賞金をもらうことが出来たら、家計の足しにしたいという方が強かったです。

――その後、事務所の練習生を経て、「SUPER JUNIOR」のメンバーとしてデビューしますが、ターニングポイントになった出来事を教えてください。

 韓国で僕の存在が知られるようになったきっかけは、ドラマのオリジナルサウンドトラックを歌ったことが大きかったと思います。ただ、僕自身が考えるターニングポイントは、練習生の時期にありました。5年近い練習生時代は毎週オーディションのようなものがあり、それで生き残った者だけがデビューできるというシステムでした。そのときの僕は完全に歌手を目指していましたし、一度も怠けたことはなかったのですが、当時は芸能事務所が少なかったこともあり、スターになりたい人の誰もが事務所の門を叩くという状況で、その中で伸び悩んでいた僕にとって、苦しい時期でした。

2016.11.03(木)
文=くれい響
撮影=深野未季