My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

補足:「正しい日経新聞の読み方」

2011-05-18 11:09:52 | 7. その他ビジネス・社会

前回の記事「正しい日経新聞の読み方(主に新社会人向け)」に補足。
コメント欄やTwitter、はてななどでいただいたコメントを拝見していて、前の記事だけでは不親切だったな、と思ったので。

1.まずは新聞記事の中で「空」「雨」「傘」を峻別するように読む

ビジネスの経験が長い人ならともかく、今まで「空→雨→傘」的な考え方をしたことが無い人が、いきなり新聞でそれをやるのは難しいのかもしれない、と思った。

まずは新聞記事の中で、一文一文読んで「これは空(事実、ファクト)だ」とか、「この部分は記者による雨(解釈・解説)だな」とか、峻別するようにすること。そうすると、だんだんと記者の解釈に惑わされずに、「空(事実、ファクト)」の部分だけを取り出して読む、ということが出来るようになる。

日経新聞の良いのは、記者が少なくともちゃんと訓練されているので、(インタビューや解説記事を除く)ほとんどの文章の最初の数文は必ず「空」が書かれていることだ。だから峻別が簡単である。もちろん第一文目から「雨(解釈)」が紛れ込んでいることもあり、デスクのチェックが甘いのかな?と感じることもあるが。ただ、これが他紙だと、第一文目から空・雨交じりの文章を提示されるので、どれが「空(ファクト)」なのかを見切るのが結構難しい。日経新聞を薦めるのはそういう理由もある。

また、ここは異論反論が出るかもしれないが、「空」「雨」を峻別することで、記者の人がどのようにして「雨(解釈)」を導き出すのか、がわかるようになる。新社会人の方などは、「空(事実)」を見てどのように「雨(解釈)」を導き出せばよいかわからない、という方も多いだろう。「空」「雨・傘」の峻別が出来れば、解釈を導き出すパターンを理解する出来るようになる。もちろん、「日経ダメ」と批判する人の多くは、この企業行動に関する解釈が間違ってるとか浅い、というところに帰着するだろうから、そこで満足してはいけないのだけど、少なくとも「解釈をする」ということは出来るようになるだろう。

コメントには、私が新聞を読むスピードが速いことに驚かれている方が多かったが、ひとつには私が記事を読んで一瞬で「空」と「雨・傘」の部分を分けて、多くの記事では「空」しか読んでいないからだと思う。ただし、これはそれなりに知っている業界や事象じゃないと難しい。全く知らない事象や業界についての記事を読むときは、私も図表の細かいところまで読むので時間がかかる。

2.新聞は毎日読んで、自分の中に「空」「雨」「傘」のデータベースを作っていく

もうひとつ、私が新聞を読むのが何故速いのかという理由を考えると、毎日「空」を読んで、「傘」と「雨」を考えるということをやっているので、自分の中にある程度のデータベースがあるからだと思う。そうすると、まず新聞の見出しを見ただけで「ああ、あの話ね」とわかり、自分にとって新しい「空(ファクト)」だけを探すために記事を読む。特に新しい情報が無ければ、それ以上は読まないで飛ばす。

このデータベースが出来てくるまでは、新聞を読むのは時間がかかるのは当然だと思う。
私も社会人になって、日経新聞をまともに購読始めたが、最初は通勤時間まるまる1時間を使って新聞を読んでいたと思う。それほど混まない電車だったのが幸いしたと思うが。それが、社会人1年が過ぎる頃には、だんだん様々な記事の背景を理解できるようになって、読む時間が短くなった。、2年目に入る頃から、日経産業新聞も購読するようになって、通勤の電車の中だけで2誌読めるようになってきた。

新しい「空(ファクト)」が出てきた場合は、自分が今まで出していた「雨(解釈)」がどのように変わるかを考えることになる。

3.新聞は複数ソース読む

複数ソース読むと、同じ「空(事実)」に対して、記者によって異なる「雨(解釈)」を提示していることがわかるようになる。異なる解釈を比較すれば、人間おのずと新聞による解釈の深さや広がりの違いがわかるようになるというものだ。

新聞記者は、自分が担当している部分の中でも、得意分野、不得意分野はあるし、それでも満遍なくカバーしなくてはならない。当然ながら得意分野のほうが、鋭い「雨(解釈)」を提示し、現実的で意味のある「傘(実行すべき行動指針)」を示すことが出来るだろう。エレクトロニクス系に詳しい記者が異動してくれば、その記者がより詳しい「空(事実)」と正しい「雨(解釈)」を提示できるので、その新聞はエレクトロニクス系に強い、ということになるだろう。また、新聞社によっては、自動車だけ独立のセクションがあって、記者がたくさん育っているので自動車業界に強いとか、そういうこともある。

このように新聞によって、事実の集め方や、その解釈の仕方に色があるため、複数読んで比較する方が、より正確な「空(事実)」と「雨(解釈)」を得ることができるようになる。

4.とにかく毎日読むこと

大切なことは、とにかく、毎日読み続けることじゃないかと思う。どんなに時間が無いときでも、見出しだけでも必ず目を通す。見出しだけでも自分のなかのデータベースに加えていくことは大切だ。データベースがある人なら、見出しだけでも世の中で何が起こっているかわかるだろう。

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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (numb)
2011-05-18 11:30:06
こんにちは。
なんだか論文読む作業に似ているなと思いました。
私は詳しい分野ならresults and discussionのresultsだけピックアップして読んでます。
新聞もそう読めばいいのか。
Unknown (Unknown)
2011-05-19 22:26:45
こんにちわ。
私は学生で日経を読んでいるのですが、よく日本のメーカーや商社が海外に工場を投資したり鉱山に投資するニュースの価値がよくわかりません。
そういうニュースはどう読んでますか?
補足ありがとうございます (Satoooons67)
2011-05-19 23:26:22
ある程度あるとおもっていた自分の論理力も、新社会人になって通用しなくなってきました。
こんな身近なものに論理力を鍛える要素があるとは知りませんでした。
始めまして (アナバコリア)
2011-05-30 18:13:24
新聞を読む習慣、私も大切だと思っています^^また訪問します^^
補足助かりました (てんでん)
2011-06-08 16:43:50
新社会人と銘打ってますが誰にでもあてはまる部分もあるかなと思いました

精進します
はじめまして。 (ブルーボーイ)
2011-06-09 17:23:23
よく読ませていただきました。これからも情報楽しみにしています。

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