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■三明伸水彩画展 (12月2日まで)

2007年12月02日 15時02分42秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 写実的な水彩画を描く札幌の三明(みあけ)さんの個展です。

喜寿古希を迎えたので新作70点をならべました。ま、遊びですよ」
と笑顔で話していらっしゃいました。

 ことしツアーで出かけた英国スケッチ旅行で材を得た作品がメーン。
 冒頭の画像は、その際のもので、へいの上を、列をつくって歩くカモたちがなんともかわいらしい。
 題材になっているのはいずれも田園地方で、まさにコンスタブルの絵に描かれている穏やかで平明な世界が広がっています。

           

 道内を題材にした作品も多数。
 これは大通公園で、紅葉の葉と緑の葉が混在している美しい秋の日の眺めを描いています。
 ほかに北大や、美々川で羽を休めるハクチョウなどの絵もありました。

 さらに、奥の方には、これまで師事、あるいは私淑した小磯良平や、苫小牧の画家星野恒隆さん、函館の国井しゅうめいさんの作品も。
 30歳ごろ、仙台で絵筆を執っていた時代の静物画(やはり水彩です)もあります。


 筆者は、1カ月前に、「芸術家の業(ごう)」について書きました。■参照
 それに対する敬意は、いまもかわりません。
 ただ、「業」がない作り手はダメかというと、そうも言い切れないんじゃないかと思うのです。
 わたしたちは、生活をかえりみず芸術に人生をささげた作家の作品に感動します。
 でも、われわれみんながそういう人生をおくっていては、この世は成り立ちません。
 一般人の「Quality of life(生活の質)」を向上させるためには、まっとうな日常の中にアートを織り込んでいく-というのが、賢いやりかたなんでしょう。

 その意味では、三明さんの生き方は、みごとだと思うのです。
 定年後ふたたび絵筆を執り、プロはだしの水彩画を描いています。
 その作品は、とくべつ美術の歴史に残るような革新的なものではありません。しかし、ふつうに見る人の心を穏やかにさせるのです。
 もちろん、目には見えない三明さんなりの苦労はあるにちがいありません(星野さんに絵を習っていた当時は、仕事が終わった後、苫小牧まで通っていたそうです)。
 三明さんご自身にとっても、見るわたしたちにとっても、三明さんの絵は、Quality of lifeを向上させていると思うのです。


07年11月27日(火)-12月2日(日)10:30-18:30(最終日-17:00)
さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B)

03年12月の個展(画像なし)
02年12月の個展
02年7月の個展(画像なし)
02年3月の個展(画像なし)


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
始めまして。。。 (Aya)
2007-12-03 14:46:29
先日、三明さんの作品展で声を掛けさせていただいたおばさんで~~~す

ヤナイさんの、とっても豊富な知識を勉強させていただいて 好きな水彩画のギャラリー巡りを楽しんでいます

ちなみに 三明さんは 喜寿まで年を重ねてはいませんよ!  “古希” なので 70展を出品と 
伺っています
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-12-04 10:28:47
 どうも、人の顔をおぼえるのが苦手なヤナイです。
 返事も遅れて、申し訳ありません。

 古希の件はご指摘ありがとうございます。
 直しておきました。

 水彩画だけだと、ラクだろうなあ(笑)。ヤナイはすこし手を広げすぎたかも。

 今後ともツッコミよろしくお願いします。
描く姿勢、どちらも。 (怜な)
2010-11-29 21:14:32
「芸術家の業(ごう)」、「Quality of lifeを向上させる」。
絵以外にも、すべてに通じることだと思います。

”業”を見て、切ない感動を受けて見過ごせない。
”心を穏やかにさせる”を見て、幸せな気分になる。
どちらも素敵な姿勢だと思いました。
読みたい記事が沢山あって・・・。そのうちに、またゆっくり読ませていただきます。
怜なさん、こんばんは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-11-29 23:49:18
プロとアマを比べればもちろんプロが偉いんでしょうけど、だけどこの世が少数のピカソと大多数の受容者でもつまんないと思うんですよ。

芸術としては決して前衛的でもなく、心血を振り絞った作品でもないけど、でも存在価値のあるものっていうのもあるのでは。
そう思わないと窮屈な感じがするのです。

怜那さん、いつもありがとうございます。
お時間に余裕がありましたら、今週、さいとうギャラリーにお立ち寄りください。

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