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節電ビズ ハイテクで涼しく

2011年5月16日10時16分

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カラー写真:バリエーションも豊富なマッキントッシュ・フィロソフィーのトロッタージャケット拡大バリエーションも豊富なマッキントッシュ・フィロソフィーのトロッタージャケット

カラー写真:バーニーズ・ニューヨークが提案する、ジャケットとポロシャツの組み合わせ拡大バーニーズ・ニューヨークが提案する、ジャケットとポロシャツの組み合わせ

カラー写真:宮崎俊一バイヤー。着用しているのは、全工程を1人の職人が縫い上げた「丸縫い既製スーツ」=松屋銀座提供拡大宮崎俊一バイヤー。着用しているのは、全工程を1人の職人が縫い上げた「丸縫い既製スーツ」=松屋銀座提供

 震災の影響で、今年の夏の目標は「節電」。ビジネス現場でも、酷暑だった昨年以上の暑さ対策が求められる。高機能を得意としてきた日本のアパレル業界も、ハイテクを駆使した「節電ビズ」を前面に打ち出し始めている。その中から、見た目も“クール”にキメられる最新アイテムを探してみた。

◆着てひんやり

 服に腕を通した瞬間、冷やっとする。まるで袖の裏に保冷剤が仕込まれているようだ。

 「節電ビズ」で最も注目の機能が「接触冷感」(皮膚が触れた瞬間ひんやり感じる効果)。三陽商会が発売するマッキントッシュ・フィロソフィーのトロッタージャケットは、袖裏に空気中の水分を吸い込む特殊なメッシュ素材を使っている。震災後も前年比300%という売り上げを誇る人気商品で、同社は「節電ビズの主力商品に」と期待をかける。

 夏の暑さ対策では過去2度、ビジネスウエア改革が話題になった。最初は1970年代末に提唱された「省エネルック」。半袖開襟のスーツとワイシャツという大胆な発想。大平正芳、羽田孜元首相らがアピールしたが、まったく定着しなかった。

 2度目は05年、小泉政権で小池百合子環境相が提唱した「クールビズ」。ノーネクタイ、ノージャケットという提案は、現在の「ジャケパン」流行へとつながった。

◆汗すぐ乾くジャケット

 だが、今年の「節電ビズ」は一味違う。切ったり、脱いだりする代わりに、ハイテク素材による機能性が加わっているからだ。

 バーニーズ・ニューヨークは、最新素材を使ったジャケット2種類を用意する。

 一つは米デュポン社が開発、吸収速乾性に優れた素材「クールマックス」のジャケットだ。宣伝担当の矢野考太郎さんは「乾燥速度はコットンの5、6倍。汗を素早く吸収し外に出すので、気化熱の原理で涼しく感じます」と話す。

 もう1点はイタリア高級ブランド、エルメネジルド・ゼニアの「クールエフェクト」素材を使ったジャケット。熱源となる赤外線を反射する。「独特の品や光沢感も魅力。同じネイビーでも清涼感があり、見た目にも涼しく映ります」

◆ビジネス顔ポロも

 これらのジャケットに鹿の子のポロシャツを合わせるのが「節電ビズ」の定番というが、ポイントはこのポロシャツ選び。矢野さんは「生地の目が詰まり、遠目にはシャツと見分けがつかない“ビジネス顔”タイプを選びたい。襟腰が高いボタンダウンなら、ネクタイを締めても違和感がありません」と話す。

 冒頭のマッキントッシュ・フィロソフィーも、縦糸に「クールマックス」、横糸に別素材を使った生地を開発。さらにデザインも豊富だ。服が胸元に吸い付くようにダーツの入れ方、アイロンワークも一工夫。企画担当の松村宇行さんは「コートで有名な英国ブランドのセカンドライン。機能性は高めつつ、トラッドの良さは残しています」と話す。

◆震災で急きょ準備

 「クールビズよりクールな『節電ビズ』」をうたい、12日から「『銀座の男』市」を開いているのは松屋銀座。46年続く名物企画だ。担当の宮崎俊一バイヤーは「震災発生後、急きょ準備を進めた節電対策アイテムを投入します」と自信満々だ。

 自主開発の「極薄既製スーツ」はイタリアや英国製の高級生地を使用。裏地や芯地など、通常4層構造のスーツを高級毛芯のみの1層仕立てにし、高級ブランドのプレタポルテ専門の国内工場で縫い上げる。

 限定120着の「丸縫い既製ジャケット」も、高級生地の1層仕立て。しかも1人の職人が手仕事で縫い上げる。「熟練の職人技で、肩パッド無しでも型崩れしない。シャツのように軽い着心地です」

 向こうが透けて見えるほど薄く通気性の高い生地に、シンプルな構造。蒸れにくいのに、スーツは4万円、ジャケットは3万円を切る(税込み)。「間に業者を入れず、直接買い付けた生地のストックがあった。技術の高い国内生産だからこそ、短期間で実現できた企画です」

 宮崎バイヤーは、これらのスーツやジャケットに、あえて裏地のない1枚仕立てのネクタイやニットタイを提案する。「ビジネス現場では相手にきちんとした印象を与えたい。節電ビズの中で、いかに自分らしさを表現できるかが勝負ですよ」

 今年はこれまで以上に、ビジネスマンのオシャレ度が問われる夏になりそうだ。(竹端直樹)

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