2011年5月14日12時30分
東日本大震災後、酒宴の団体客がめっきり減った東京湾の屋形船。苦境にあえぐ運航会社と、子どもの表現力育成に取り組むNPOがタッグを組み、親子で東京湾の自然や歴史を学ぶための企画を始める。
小学生と親が対象の「東京ワンダー航海記」。東京スカイツリーと東京タワーが同時に見え、コンテナを運ぶ巨大なクレーンが並ぶ東京湾は、子どもにとって「気づき」の宝庫。海図と写真、絵、暗号を書いた「指令書」をもとに東京湾にまつわる12の謎を解き明かすという趣向だ。1回目は29日。年4〜5回のペースで催す考えだ。
運航するのは9隻を所有する「船清」(東京都品川区)。震災後、約60件の団体予約がキャンセルになり、花見の貸し切り予約もほとんど入らなかった。
市民団体と企業をつなぐ広島市の「コミュニティシステム合同会社」が船清の窮状を聞き、NPO「あそび環境Museumアフタフ・バーバン」(同武蔵野市)に屋形船の利用を提案。今回の企画が決まった。
同NPOの北島尚志代表は「たくさんの船が行き交う東京湾は、見回すだけで子ども心はくすぐられる。歴史や環境を学ぶ格好の場になる」。船清の伊東堅社長は「酒を提供しない子どもの企画というのは『目からうろこ』。震災で海の恐ろしさが注目されたが、五感を刺激する海の良さを伝えたい」と話している。
参加費は親子2人で5千円。申し込みは25日まで。問い合わせは同NPO(0422・46・1951)へ。(隅田佳孝)