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5月7日と8日に沖縄を訪れた北沢防衛大臣。5月末にも日米の安全保障協議委員会2プラス2が開かれる中、普天間基地の移設問題についてどう説明するかが注目されましたが、知事との話し合いは平行線のままでした。

仲井真知事に対し、アメリカ軍基地の負担軽減策や沖縄振興予算の確保をアピールした北沢防衛大臣。しかし、その一方で移設が実現しなければ、嘉手納より南側の基地の返還が進まないと強調し、仲井真知事が不快感を示す場面も見られました。

北沢防衛大臣は「結局普天間が動かないと、それが動かないんです。ここんところをセパレートするのは難しい」と辺野古への移設という従来の考えを述べました。

これに対して仲井真知事は「辺野古が動かないと無理だろうという主旨の発言をされたのですが、これはこれですよ。県民に納得いく説明を求めたわけです。説明をきちんといただいていないわけです」と不快感を示しました。

会談後、仲井真知事は記者団から北沢防衛大臣の訪問目的を質問され「できもしないこと言いに来たって、おかしいでしょ」と訪問自体に疑問を投げかけました。

基地担当の島袋記者に聞きます。今回の沖縄訪問では、辺野古に造る滑走路の工法など政府方針が示されるのではと警戒する声もありましたが出ませんでした。大臣の訪問の目的は何だったのでしょうか。

島袋記者「今月末にも予定されている2プラス2、日米安全保障協議委員会を前に、沖縄との交渉を粘り強くやっているとアメリカにアピールしたい、また仲井真知事に対しては『振興策』を強調することで移設に合意させたいという狙いがあったと見られます。『基地問題と振興策はリンクしない』と繰り返す政府ですが、一方で、大臣からは沖縄振興について「沖縄と政府の調整役になっても良い」とアピールする発言も飛び出しました」

政府は「2014年までの移設は難しい」との見方をしているようですが。

島袋記者「『日米は2014年までに移設を完成させる』ことで合意していました。大臣が来る前に、それを断念するという情報が政府内から出た真意はわからないのですが、その理由としては沖縄が県内移設に反対していること、また、アメリカの財政難によって海兵隊のグアム移転費を確保することが難しくなったためと見られています。しかし辺野古への移設を推し進める流れは変わらず、会見では気になる発言もありました」

北沢防衛大臣「知事との協議が厳しかったとは思っていない。仲井真さんのキャラクターも承知している上で、非常に良い話合いができたと思っている」

かみ合わなかった両者の話合いですが、大臣が好感触を持ったのは奇妙な感じもします。

島袋記者「政府は『振興策』を強調すれば、沖縄を懐柔できると楽観的な見通しを持っているのかもしれません。政府は、近いうちに沖縄政策協議会も開かれる予定ですし、松本外務大臣の沖縄訪問も検討されていて、政府と沖縄の交渉は今後活発になりそうです」