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■現代中国 水墨画界の巨星 王子江(おうすこう)の世界展 (2016年5月11日~22日、札幌。岩見沢へ巡回)

2016年05月24日 22時33分24秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 王子江おう す こうさんは1958年、北京の、代々人文画家の家に生まれた水墨画家です。1988年に来日し、洋画なども学びました。その後、筆者は恥ずかしながら知らなかったのですが、NHK教育テレビ(Eテレ)の講座の講師や、千葉県の茂原市立美術館での個展など、日本を拠点に幅広く活躍しているそうです。
 展覧会タイトルは「水墨画」でしたが、日本画のように着彩した絵や、木版画やシルクスクリーン、ペン画、棟方志功を思わせる絵、さらにはポップアートを思わせるカラフルな絵も一部にあり、もちろん伝統的な屏風の水墨画もあって、画業の幅の広さがうかがえました。
 冒頭の画像、右側に見えるのは「峡江雄観図」。いかにも伝統的な水墨画らしい、ふところの深さをたたえた画幅です。

 今回の作品は、個人蔵の2点を除き、いずれも空知管内浦臼町が所蔵しています。
 では、なぜ、これらの絵が浦臼町にあるのか?



 王さんが来日した当時、絵を購入するなどして支援した不動産業の佐藤博さんという方が、同町の出身なのです。
 佐藤さんは後に、これらの絵を一括して故郷の浦臼町に寄贈しました。
 寄贈した作品は計106点。小田切訓さん(オホーツク管内雄武町)の洋画なども含まれていますが、王さんの作品が39点を占めています。
 今回の展示作がいずれも1989年ごろの作なのは、そういう理由があるのです。

 冒頭画像の、左奥の「瑞雪豊年」だけは、比較的新しい作品。ふだん町長室に掛かっているそうで、石狩川やピンネシリなど、浦臼の風景が落ち着いた筆で描かれています。
 先に述べた「峡江雄観図」や、次の画像の屏風絵などは、来日当初のもの。「瑞雪豊年」にくらべると、勢いの良い筆勢が若々しいです。
 一方、次の「雨後」「雨夜」は、緑青をふんだんに用い、日本画の影響が感じられます。




 これらの作品は、浦臼町内で2005年と10年に展覧会が開かれましたが、町外での展示はこれが初めて。同町出身で札幌在住の日本画家、伴百合野さんご夫妻らが、浦臼町文化交流絵画展示実行委員会をつくり、展覧会にこぎ着けました。
 筆者が会場に伺ったときはご主人がいらして、浦臼で死蔵してしまってはもったいないのでアドバイスをしたという話をしていました。岩見沢は、法邑よりも会場が広いので、今回は展示しなかった作品も見られるかもしれません。また、来年以降は、胆振管内洞爺湖町でも開催する計画があるそうです。


2016年5月11日(水)~22日(日)午前10時~午後6時、月火休み
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)

2016年8月26日(金)~9月15日(木) 岩見沢市絵画ホール 松島正幸記念館(7西1)に巡回

□王子江の世界 http://wangzijiang.com/


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