この演奏を評価する方には、20年前のDSKのサヴァリッシュ盤を聴いてもらいたい。
まず、録音自体はいいのだが、この残響を取り入れ過ぎた録音によって、オケの響きはモヤモヤとマッタリしたものになってしまった。風呂場の録音のように、美しいかもしれないが、切れ味や分離は期待できなくなってしまった。
それは仕方ないとしても、このオケの弦楽器やティンパニの切れ味のなさ、全てが標準的な音だが、特色のないつまらなさ。
シノーポリもどうしたのだろうか?
何か、伝統的な、表面的な美しさでまとまった演奏で、これが過去の名演を凌ぐとはとても思えない。
もちろん、最近、あるいはこの時点でこういった巨匠的・保守的な演奏を聴かせ、録音されたものはないので貴重、と言うのはわかるが、過去にはいい演奏がたくさん記録されており、それらに比べてその存在を主張できた演奏とは言い難い。