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アマチュア無線家、情報の架け橋 全国から被災地入り

2011年4月28日20時1分

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写真:病院の一室につくった無線ボランティアセンターで無線に応える岡崎さん(手前)と畠山さん=岩手県一関市、中山写す拡大病院の一室につくった無線ボランティアセンターで無線に応える岡崎さん(手前)と畠山さん=岩手県一関市、中山写す

 通信網も大きな被害を受けた被災地に、全国のアマチュア無線家たちが集まっている。津波で壊れた中継局をカバーする装置を岩手県内に置き、「無線ボランティアセンター」をつくって、24時間態勢で情報をつないでいる。

 「友人と連絡がとれません。どなたかわかりませんか」。ある夜、仙台市から無線が入った。「近いので行ってみてきましょう」。応答した岩手県陸前高田市の無線家は、翌朝すぐ確認し連絡した。

 「どこの道路が通れる?」と地元に情報を求めるものや、「家が水浸しで家電製品が全滅。中古の洗濯機ありませんか?」と全国に呼びかけるものもある。

 ボランティアの無線家たちが詰めるセンターは、同県一関市東山町のひがしやま病院の一室にある。勤務医の岡崎宣夫(のぶお)さん(61)が呼びかけ、全国各地からボランティアが集まってきた。ベッドが二つ、炊飯器など自炊道具もそろう部屋で、交代で寝泊まりし、無線機の前に構えている。

 岡崎さんは、2006年に東京から一関市の先輩に請われて来て、市内や盛岡市の病院と診療所10カ所以上を結び、X線写真など医療情報の受け渡しがオンラインでできる仕組みを作った経験を持つ。大震災で通信網が途絶えた時、「無線は一度に大勢に呼びかけられる。職業も違う、いろんな能力を持った人につながるのが強み。役立つはずだ」と考えた。

 今月初め、中継機器やアンテナを車に積み込み、東京から仲間がかけつけた。一関市の協力で室根山(標高895メートル)山頂の天文台に置かせてもらい、宮城県北や岩手県南はカバーできた。無線が届かない区間は音声をインターネット回線経由でつなぐ仕組みで、さらに広域をカバーする。

 メーカーは機器類を提供してくれ、日本アマチュア無線連盟は被災地の無線家に無線機を送る支援を始めた。沿岸は漁師が多く、無線の資格を持つ人が多いことにも期待がかかる。

 高知市から来た畠山正則さん(72)はセンターに泊まり込んでいる。誰かの呼びかけに応える人がいない時は情報を引き取り、後で代わりに呼びかけたり、中継局に故障がないかチェックしたりする。「私の地元でも南海地震が起きるかもしれない。ひとごとではないから」と言う。

 中継局の周波数は439・44メガヘルツ。同センターのコールサインはJE7YYF、電話(080・3539・7528)や、メール(8J1QJQ@gmail.com)でも問い合わせできる。(中山由美)

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