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藻から軽油を量産へ デンソー、年80トン計画

2008年7月9日3時0分

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写真軽油をつくる藻「シュードコリシスチス」=デンソー提供

 トヨタ自動車グループの部品メーカー、デンソーは、水中で光を浴びると軽油を生成する藻を大量に培養し、13年までに軽油の量産に乗り出す。軽油などを年に計80トン生産する計画で、藻を原料とする軽油の量産は初めて。食糧価格の高騰を招かず、低炭素社会に道を開く技術として注目される。

 大量培養されるのは、温泉などに生息する微細な緑藻「シュードコリシスチス」。光合成を通じて、水と二酸化炭素(CO2)を吸収し、バイオディーゼル燃料の元になる中性脂肪や軽油を細胞内に蓄積する特徴を持つ。

 CO2を吸収するため、燃やしても大気中のCO2は増えないと見なされ、地球温暖化対策としても期待される。重量の最大3割が軽油などになり、残りかすからバイオエタノール燃料も抽出できる。

 デンソーは、太陽光を使って効率よく培養できる方法を探るため、今月内にデンソー基礎研究所(愛知県日進市)内に研究室をつくる。11年末までに屋外設備をつくり、大量培養に乗り出す。

 基礎研が年間に排出するCO2約1万トンのうち約450トンを藻に吸収させるほか、生産した燃料は、社内のボイラーの動力源として使う。

 軽油の大量生産については、国内の石油化学メーカーなどと共同で研究する予定。現時点では藻の殻から軽油を取り出すコストなどがかさみ、原油から精製した軽油より割高になるため、生産コストの引き下げが課題になる。

 軽油はガソリンより燃焼効率がよく、環境規制の厳しい欧州では、新車の半分以上を軽油を燃料とするディーゼル車が占める。国内でも日産自動車やホンダがディーゼル車を発売する予定で、需要拡大が見込まれる。(福田直之)

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