保険会社が治療費打ち切りを一方的に通達してくる理由と対処方法

  • 「むちうちの治療を終了しましょう」
  • 「もう保険会社として治療費は払えない。ご自身の社会保険や国民保険の3割負担を利用し通院してください。」

交通事故で、むち打ちなどを負ったケースで、3ヶ月から半年ほどの期間通院し続けてる被害者に対して、保険会社から、一方的に治療費の打ち切りを告げてくることがあります。

たとえ相手が「あいおいニッセイ同和」や「損保ジャパン」、「東京海上日動火災」、あるいは大量の広告を出稿している「ソニー損保」であっても、交通事故の治療費打ち切りの提案は珍しくありません。

もし治療費の打ち切りの提案があった場合、以下のような疑念や不安が生まれるかと思います。

  • 保険会社からの治療終了の通知は、本当に治療を終えるべきサインなのか?
  • 治療継続を希望する場合、どのような手順や対応が求められるのか?
  • 打ち切り提案を受けた後に、むちうちの治療を続行するためのベストな方法は?
  • もし治療費が打ち切られたら、後遺症の申請は可能なのか?スマートに阻止するには?

本稿では、多くの人々が関心を寄せている治療費の打ち切りに関する問題について、むちうちの3ヶ月から半年の打ち切り時期やその後の治療に関する対策、自費となる場合の注意点などを詳細に探ります。

交通事故での治療費打ち切りとは?

治療費打ち切りとは?

交通事故で言う「治療費打ち切り」とは、加害者側の任意保険会社が病院に対して直接行っていた「被害者の治療費の支払い」(一括払い制度)を止めることです。

治療費が打ち切られる主な理由

加害者側の保険会社が治療費を打ち切る理由は総じて、「自社の支出を抑えたい」との思惑からなされるものと言えます。

これは営利企業なので当然といえば当然なのですが、より具体的に言えば、下記のような思惑があると考えられます。

  • 治療費・入通院慰謝料の負担を減らしたい
  • 自賠責保険の範囲で済ませれば会社の負担額を抑えられる
  • 被害者が知恵をつける前に示談したい
  • 処理案件を減らしたい
  • 必要のない治療を続ける被害者への牽制

なお、上記5つ目の「必要のない治療を続ける被害者への牽制」についてですが、特に被害者がむちうち症の場合、嘘をついて治療をしていると考えられている場合もあります。
この場合は特にしっかりと治療の正当性を主張しなければなりません。

むちうち治療打ち切りの期間は|3ヶ月?半年?

怪我によって、治療費打ち切りの打診をされるタイミングは異なります。

例えば、打撲では1ヶ月、「むちうち」の場合では3ヶ月、骨折では6ヶ月くらいのタイミングで打診されやすいです。

治療費打ち切りの打診時期は、一般的な治療期間を目安とされています。

たとえば、むちうちの一般的な治療期間は「3ヶ月」と言われているため、保険会社も3ヶ月を過ぎた時に、治療費打ち切りを打診し始めることとなります。

しかし、怪我の様態は人ぞれぞれで異なります。3ヶ月でほとんど完治する方もいれば、その倍の期間通院しなければ完治しない方もいるでしょう。

このような、理不尽な打ち切りに巻き込まれた方は、すぐに交通事故に強い弁護士に相談をしてみましょう。

治療費の打ち切りは請求できる慰謝料の金額にも大きな影響を与えることもあるので注意が必要です。

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治療費打ち切りのデメリット|打ち切り後に慰謝料をもらえるか?

では、治療費を打ち切られると被害者にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

まず、治療費が打ち切られると、その後の治療費を「自腹」で払うことになります。

自腹で支払うことを嫌がって通院を止めると、当然ですが必要な治療が受けられず、後遺症が残ってしまうことも考えられます。

また、むちうち症の治療を自己判断で(医師から症状固定と言われる前に)止めてしまうと、以下のような不利益を被ることになります。
打ち切られることで慰謝料が0円になることはありませんが、本来受け取れるはずの金額よりも少なくなってしまう可能性が高いでしょう。

  • 本来受け取れたはずの入通院慰謝料を受け取れない(示談金・慰謝料額が減る)
  • 通院治療を再開した場合、再開後の入通院慰謝料が支払われない危険性がある
  • 通院期間が短すぎると、後遺障害認定を受けるのが難しくなる

治療費打ち切り連絡・打診を無視したらどうなる

上記のようなデメリットがありますので、保険会社が治療費の打ち切りを連絡してきても無視してはいけません。

もしも無視したらどうなるかというと、単純に保険会社はこれ幸いと治療費の支払いを終了します。

これでは被害者にとって何もメリットがありません。

通院打ち切りの連絡を無視したり、二つ返事で受け入れて後悔する前に、次の方法で対処しましょう。

保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたときの対処方法

治療の打ち切りを連絡してきたときの対処方法

では、保険会社からの「治療費打ち切り」の連絡に対しての対処法をご紹介します。

医師に症状を診断書に書いてもらい治療の必要性を訴える

保険会社が治療費の打ち切りを打診してきたら、症状が継続しており、打ち切りは不要であることをしっかり医師に伝えましょう。
その上で、そのことを診断書に書いてもらい保険会社に提出します。

診断書という客観的な証拠があれば、保険会社に治療の必要性を理解してもらいやすく、治療の継続・延長が認められる可能性が上がります。

医者がグルだと感じたら他の医師のセカンドオピニオンを受ける

保険会社と医者はグルだ!と感じている方もいるかもしれません。
しかし、医者はあくまで被害者のために治療をしており、保険会社とグルになっていることはありません。とはいえ、医者との相性が悪かったり、担当医の説明に納得がいかないこともあるかと思います。

そのような場合でも、保険会社に「治療打ち切り」を持ち出されたら、担当医に症状を詳しく正確に伝え、治療の必要性を認めてもらう必要があります。
どうしても保険会社とグルだと感じてしまうならば、他の医師にセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。

スマートに阻止するには弁護士へ|治療費打ち切りにならないよう延長依頼

治療費打ち切りをスマートに阻止するためには、弁護士に相談するのが一番良いでしょう。
交通事故に詳しい弁護士であれば、保険会社に対し治療延長の交渉ができます。実際、半年~1年延長されたというケースもあります。

具体的に鍵となるのは、「まだ治療が必要だ」という医師の意見です。医学的知見から治癒に至っておらず治療が必要だと言われれば、保険会社であっても否定することはできません。
弁護士はこのような医師の意見をまとめ、保険会社と有効に交渉することができます。

また、すでに治療を打ち切られて自己負担で治療をしている場合でも、弁護士のサポートを受けて事故との因果関係や治療の必要性を認めさせることができれば、打ち切り後の治療費を損害賠償請求できる可能性は格段に上がります。

治療を継続した結果後遺障害が残った場合も、弁護士からは申請手続きについて様々なアドバイスを受けることができますので、スマートな対応方法を選択したい方は弁護士に相談をしましょう。

治療費打ち切り後の通院治療費はどうなる?

治療費打ち切り後の通院治療費

自費での通院に切り替えての治療継続が可能

痛みなどの症状があるのなら、例え治療費を打ち切られても、原則的には通院・治療を継続して構いません。
ただし、実際に治療費を打ち切られた場合は「自費での通院」に切り替えることになります。

一旦打ち切りとなったとしても、「事故との因果関係」と「治療の必要性」が認められれば、後から損害賠償請求をすることもできます

特に、他覚所見がある場合(視診、触診、画像診断などによって、医師が症状の裏付けをできる場合)は、治療の必要性が明確なので、保険会社にも説明しやすいでしょう。

打ち切られて自費で通院する際の3つのポイント

治療費打ち切り後に自費で通院する際には、以下のポイントをご確認ください。

健康保険を利用する

交通事故による怪我は自由診療であると思われがちですが、「自分の健康保険」も使うことができます(※)。
健康保険を適用すれば、自分で立て替えなくてはならない治療費を安く抑えられます

※交通事故に健康保険を使うことができることは当然のこととして政府も通達で認めています(「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」厚生省通知昭和43年10月12日保険発第106号)。

「人身傷害保険特約」を利用する

被害者自身が加入する「人身傷害保険特約」を使って治療費を支払う方法もあります。
人身傷害保険特約を使っても保険の等級は下がらないので、加入しているなら利用しましょう。

自賠責保険の「仮渡金」制度を利用する

自賠責保険の「仮渡金」という前払いの制度を利用する方法もあります(自賠責法17条)。
この「仮渡金」を被害者請求することで、事故後の当面の治療費支払いに充てることができます。

詳しい利用方法が分からないという方は、弁護士に相談をすることで利用できる有効な方法をアドバイスしてくれるでしょう。

治療費打ち切りと医療調査の同意書|サインを拒否したら?

最後になりますが、「医療調査(医療照会)の同意書」をご存知でしょうか。

保険会社は、治療が長期化して治療内容に疑義が生じたり、医療の必要性が確認できなかったりすると、医療調査医療照会を行うことが往々にしてあります。この際に、被害者の同意書が必要となります。

医療調査や医療照会は、基本的に「保険会社がこれ以上治療費の支払いを認めたくない時」に行うものですので、このこの同意書を保険会社からもらった時に「サインを拒否すると、治療費を打ち切られやすい」というのを聞いたことがある方も多いかもしれません。

以下は、その医療照会についての同意書のサンプルです。

同意書

______病院

   病院長 殿
主治医 殿

 

私は、  年  月  日発生の交通事故による保険金
に関する損害調査のための下記患者の診療・治療・検査
を行った医師に対し、照会し回答を受けることに同意します。

 

年  月  日

住所________________

氏名________________

同意書のサインを拒んだ場合は、保険会社側が被害者の治療状況がわからないことになります。
結果として、治療の必要性も同様にわからないという理由で治療費が止められてしまうことになるのです。

また、同意書を提出しても、医師の意見が今後の治療継続による症状の改善に消極的な場合は、打ち切りの材料とされてしまいます。

いずれにせよ、治療継続中に同意書の提出を求められて判断に迷ったときは、拒否せずに、また、治療打ち切りにされそうなときにはスマートに阻止するためにも、まず弁護士に相談されることをお勧めします。

まとめ

今回の記事では、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題の、保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたケース、また打ち切りにならないためにはどうすればいいか、治療打ち切りをスマートに阻止するにはどうするか、連絡を無視したらどうなるかなどを解説しました。

事故の被害者が優先すべきは、後遺症が残らないようにきちんと治療をすることです。

保険会社から治療を終了しましょうと言われても従ってはいけません。まだ症状が残っているならば、しっかりと怪我の治療を継続してください。

治療の打ち切りに関しては上記のような対処方法がありますが、一般の方が保険会社と直接交渉することは、多くの場合困難です。

治療費の打ち切りを延長し、また、打ち切り後の治療費を請求したいのであれば、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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