この前バスに乗ったとき、盲導犬を連れた人が席に座っていた。

犬はそばでじっとして、前足だけを立てたまましゃがんでいた。

顔はご主人のひざの上にちょこんと乗せて、
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閉じた目をときどき開いたりしながら、

おとなしくじっとしてた。

しっぽは身体の廻りにぐるっと廻して、

人のじゃまにならないように気遣いしているように思

えた。

ときどき主人は、その犬の頭をなでた。

犬には背中にバッグのようなものを背負わせ、薄手の洋服が着せてあった。

まだ寒いので、主人の犬へのいたわりなんだろう。

犬の首は皮製のロープで主人とつながっていた。

主人と盲導犬はハーネスで繋がってると思い込んでいた私は

その光景を以外に思った。

バスは混んでいた。

立ってる乗客をうまくよけながら降りられるか心配だった。

バスに揺られながら、そんなことをずーっと考えていた。

それからいくつかの停留所を通過し、その人は降りることになった。

主人が席を立つと、同時に盲導犬も立ち上がった。

犬はバスの先頭にある降車口に向かって主人を誘導するように歩きだした。

そして、降車口の階段の手前までくると、ピタッと犬は止まった。

ハーネスじゃないのに、なぜ主人は犬が止まったことがわかるんだろうと

不思議だった。

主人は、いとも簡単に無料パスを見せて下車した。


そして、今夜またその主人と、盲導犬に会った。

会ったというより停留所で降りるとき初めて乗っていたことに気づいた。

バスの前列に立って、前方ばかり見ていたために

同じバスに乗っていたことに気づかなかった。

そして、この前と同じようにバスを降りていった。

バスを降りて歩道を歩くときは、ちゃんとハーネスを持っていた。

吼えることもなく、よそ見することもなく、おごることもなく、じゃれることもなく

主人のためだけに、たんたんと生きている、そう思えた。

そんな姿を後にバスはまた次の停留所に向けて走り出した。