大阪市の「ICT戦略(案)」の概要(資料:大阪市)
大阪市の「ICT戦略(案)」の概要(資料:大阪市)
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 大阪市は、「最先端ICT都市」の実現を目指す「大阪市ICT戦略」と「大阪市ICT戦略アクションプラン」の案を2月5日に公表し、2月8日からパブリックコメントの受け付けを始めた。3月7日まで意見を受け付け、条例・基本計画として取りまとめて議会の承認を得て、2016年度から実施に移す方針である。吉村洋文市長は1月29日の記者会見で、ICT戦略を推進する組織として市長直轄の「ICT戦略室(仮称)」を設置する考えも明らかにしている。

 ICT戦略の狙いは、大阪を活力と魅力のある都市にするために、ICTを徹底的に活用することで、市民サービスの向上やビジネスの活性化、行政運営の効率化を推進すること。ICTの徹底活用は5本の柱で取り組む。

 具体的には、(1)公衆無線LAN(Wi-Fi)やIoT(Internet of Things)実証実験などの情報インフラの活用、(2)オープンデータやビッグデータなどの積極的なデータ活用の促進、(3)スマートフォンなどのモバイル端末を住民接点として生かすなど最新ICT環境への対応、(4)教育・防災・市民協働促進などの行政施策でのICT活用、(5)都市インフラの維持管理や行政事務の改善による行政運営の効率化である。

 戦略を実現するための行動計画となるICT戦略アクションプランは、3年間で取り組む重点事項を取りまとめたうえで、毎年見直していく。2017年度までの当面は、例えば行政運営の効率化では、マイナンバーの活用により市への申請・届け出手続きなどでの証明書添付の全廃に向けた業務フローを検討したり、画像解析やビッグデータ分析による都市インフラ施設・設備の予防保全のためのシステム仕様を検討したりしていく。

 また、すでにトヨタIT開発センターと共同で、北区・中央区・福島区で自動車のハンドル操作やブレーキ操作などの走行データを収集して分析。地図上に危険個所を表示する「ヒヤリハットMAP」の作成を実証実験として進めている。今後は市のサイトで情報を公開するほか、ICT戦略の一環として市民サービスの向上や行政課題の解決にもつなげていく。