情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

小沢辞職を迫る菅首相の言葉をそのまま伝えるメディアは、犯人視報道自粛違反だ!

2011-01-05 08:07:30 | メディア(知るための手段のあり方)
 【菅直人首相は4日の年頭記者会見で、民主党の小沢一郎元代表が強制起訴された場合は離党や議員辞職を含む出処進退を自ら判断するよう求め、昨年末からの「小沢切り」姿勢を一層強めた】(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110105ddm002010030000c.html)ことをマスメディアは当然のように報道している。しかし、その報道姿勢は、犯人視報道をしないという各媒体の指針に反するのではないか。

 たとえば、新聞テレビ各社が加盟する新聞協会は裁判員裁判が開始されるのを機に次のような指針を発表している。

【これまでもわれわれは、被疑者の権利を不当に侵害しないなどの観点から、いわゆる犯人視報道をしないように心掛けてきたが、裁判員制度が始まるのを機に、あらためて取材・報道の在り方について協議を重ね、以下の事項を確認した。
  ▽捜査段階の供述の報道にあたっては、供述とは、多くの場合、その一部が捜査当局や弁護士等を通じて間接的に伝えられるものであり、情報提供者の立場によって力点の置き方やニュアンスが異なること、時を追って変遷する例があることなどを念頭に、内容のすべてがそのまま真実であるとの印象を読者・視聴者に与えることのないよう記事の書き方などに十分配慮する。
 ▽被疑者の対人関係や成育歴などのプロフィルは、当該事件の本質や背景を理解するうえで必要な範囲内で報じる。前科・前歴については、これまで同様、慎重に取り扱う。
 ▽事件に関する識者のコメントや分析は、被疑者が犯人であるとの印象を読者・視聴者に植え付けることのないよう十分留意する。】

 小沢氏に関する報道は、この指針に真っ向から反しているのではないだろうか?菅氏の発言をそのまま伝えるだけでは、識者のコメントについては犯人であるとの印象を与えないように留意しなければならないという点に違反する。少なくとも、菅氏の発言を報道する際には、「小沢氏を犯人視してはならない」ことも合わせて報道しなければならないはずだ。

 御存じのとおり、実際には、社説を含め、ほとんどのテレビ・新聞は、小沢犯人視報道を繰り返している。

 もっとも、政治家の場合には、一般の人と違うという見解もあるだろう。独自の調査で政治家や官僚の問題を発見し、報道する必要があるのは当然であり、その場合には犯人視することになる。

 しかし、具体的な事実について書くこともしないで、犯人視(=ペナルティを課せと迫ること)することはたとえ、対象が政治家であっても許されることではない。

 本件で、小沢辞任を迫る管首相、その発言をそのまま報道するマスメディアは、検察審査会で問題とされた以上の事実を指摘してはいない。

 そうだとするならば、検察審査会で問題とされた事実のみをもって犯人視することが、本件において可能かどうか、ということになるわけだ。

 まず、検察は、この事実については起訴できないという判断をした。

 これに対し、検察審査会は、

【検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思つて起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によってほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴を躊躇した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる。】

という理由で起訴すべしと判断したわけだ。

 検察審査会は、黒だという確信的な心証があるわけではなく、【国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度】だから起訴してペナルティーを与えるべきかどうかを判断するべきだと言っているわけだ。

 そうであれば、黒白をつける前に、議員を辞職せよ(=ペナルティーを与えよ)と迫るのは、検察審会の決定の趣旨に明らかに反する。決定がいう「国民の責任」には、黒とされるまでは、白だとみなすということも当然、含まれるはずだ。そうでなければ、黒という確信を持っていない者に裁判という負担をかけることはできないはずだ。

 しかも、国民のなかには、小沢氏に投票した有権者も含まれるわけだ。黒だと判断される前に小沢氏に辞職を迫ることは、それら有権者の国政に参加する権利をも侵害する。

 菅氏が小沢氏に進退を迫る発言は、検察審査会の決定の趣旨に反するものであり、むしろ、その点をこそ、マスメディアは問題視するべきだとさえ、思う。

 これに対し、小沢氏は、「僕自身のことは私と国民が裁いてくれる」と発言した。検察審査会の決定(国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつける)に即した発言であり、極めて正当な発言だ。

 「国民の責任」を無視して小沢氏に進退を迫る発言をする菅氏、そして、その発言を増幅し、小沢切りを迫るマスメディアの異常さをどれだけの「国民」が理解しているだろうか…。

 起訴されたら事実を争っていても議員辞職しなければならない、そんな国があるだろうか?少なくとも、三権分立という制度を備えた近代的な民主主義国で、そんな国はないはずだ。そのようなことが認められたら、検察や検察を利用した権力が気に入らない政治家を弾圧するために、いくらでも、同じ手法を使えるということになるだろう。

 三権分立という制度を備えた近代的な民主主義国で小沢氏に議員辞職を迫ることは、近代的な民主主義国ではない国で長期間、不当に身柄を拘束すること(たとえば、ネルソン・マンデラ、アウン・サン・スー・チー、金大中、劉暁波の各氏の事例)に匹敵することではないだろうか。

 不逮捕特権が認められている趣旨から考えても、起訴されたら辞職、ということの異常性が理解できるはずだ。

 小沢氏個人の問題を離れても問題は大きい。小沢問題に関する報道を目にした市民は、起訴されたら悪人だという印象を持ってしまう。報道機関がいくら犯人視報道をしないという建前を述べても、まったく効果がない。せめて、小沢問題について、なぜ、犯人視できるのかを説明してくれればいいのだが…。
 
 検察審査会のメンバーは、自分たちの決定が、公正な刑事裁判で黒白つける前に、公正な刑事裁判の場以外で利用されることについてどのように感じているのだろうか…。




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