情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

密約文書焼却の痕跡見つかる~調査及び有識者会議はやり直すべきでは?

2010-12-24 06:27:49 | メディア(知るための手段のあり方)
 外務省が22日に公開した291冊の外交文書、ここから、沖縄が返還される際に、思いやり予算が裏金化していたことが明らかになるとともに(各紙)、【沖縄返還に際して米国が支払うことになっていた米軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本が肩代わりした密約をめぐるファイルの中から、3通の機密電報を焼却した痕跡を示すメモが見つかった】(毎日 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101222k0000e010055000c.html)という。いったい、昨年の密約に関する内部調査、欠落に関する調査は何だったのだろうか?

 今回の公表で政府は、【仙谷官房長官は、記者会見で「公開する資料については、政府が1つ1つコメントしないと決めている。歴史的な事実に対する評価は、皆さんにお任せしたい」と述べました】とだんまりを決め込んでいる(NHK http://www.nhk.or.jp/news/html/20101222/t10013003121000.html)。

 確かに、普通の公開であれば、それでもいいだろう。

 しかし、財政密約については、訴訟にもなっているし、民主党政権となって以降、欠落の状況も含め、2度にわたって調査を行った。

 それにもかかわらず、2度の調査に関する分析を担当した筑波大の波多野澄雄教授(日本政治外交史)は、【焼却されたのが機密電報の原本かコピーか分からないが、焼却の痕跡とも見える文書は初めて見た】と述べている(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101222dde001010017000c.html)。

 したがって、なぜ、2度の調査でこのことが明らかにならなかったのかを、民主党政府はきちんと市民に説明する義務を負っていると言える。違いますか?

 毎日新聞も、せっかくのスクープなんだから、【。焼却処分を示す文書が見つかったのは初めて。また、目次や表紙がありながら文書本体が欠落しているものもあった。焼却された文書の内容は不明だが、意図的な廃棄も疑われかねず、外務省の文書管理のあり方が問われそうだ】(上記毎日)にとどめず、ただちに再調査をするなどして市民への説明を求めるべきではないのだろうか…。

 外務省としては、今回公表した文書はさきの二つの調査では厳密には対象になっていなかったなどというのかもしれない。しかし、明らかに密接に関連する文書が破棄されたことを示す証拠を示さなかったことが理解できないし、それをいまさら、しれ~と公表するのも理解できない。そして、与党民主党が特にコメントも付さないし、前の調査に関わったものへの叱責の言葉もないのも理解できない。

 そして、歌舞伎役者の喧嘩にあれだけのエネルギーを割けるマスメディアが、なぜ、調査不足をきちんと批判しないのか、理解できない。

 何のためのマスメディアなのか…。

 ゴダール監督は、新作「ソシアリスム」の末尾で、著作権侵害に対するFBIの警告文を登場させた後、「法が正しくないときには、正義が法よりも優先される」という文字を重ねた。

 表現行為の公共性・公益性の重要性を示すアピールをここまで明確にできる人が日本にいるだろうか…。

 この認識の甘さが、政府の嘘をも、寛容に許してしまうマスメディアを生んでいるのか、それとも、そのような寛容なメディアが流す情報の中で生活しているから認識が甘くなるのか…。

 日本の市民だけが馬鹿なはずはない。

 やっぱり、吉田茂首相による放送行政に関する独立委員会の廃止、田中角栄首相による新聞とテレビの系列化の完成…などの自民党政権によるマスメディアコントロールが原因なのだろう。

 
※画像は焼却を示すメモ(毎日新聞より)


【追記】
と思っていたところへ、共同が【1972年の沖縄返還に絡み、日本政府が米軍施設改善移転費の名目で6500万ドル(当時のレートで234億円)を負担したとされる財政密約で、当時の外務省北米1課の担当者が23日までの共同通信のインタビューで、密約が存在していたと証言した。この担当者は密約が大蔵省(現財務省)主導で結ばれたことを明らかにした上で、「財務省に資料が残っているはずだ」と言明した】とのニュースがあることをツイッターで知りました。

 共同は、【22日に開示された外交文書から、米公文書で既に判明していた密約の存在が裏付けられたが、当時の関係者が具体的証言を行うのは初めて。仙谷由人官房長官は同日「公開される資料について原則としていちいちコメントしないと決めている」と述べたが、今回の証言を受け、政府に真相究明を求める声が強まるのは必至だ】と書いている。

 ぜひ、マスメディアを挙げて、この問題を追及してほしい。


【追記その2】
 諸永裕司さんが女性二人に焦点をあてた「ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] 」を出版した。

 本書は、沖縄密約をめぐる国の嘘によって人生を断たれた元新聞記者・西山太吉と、国の嘘を認めさせようと願い、動いた人々の記録である。
第一部では、「夫の嘘」と「国の嘘」に翻弄された西山の妻の半生をたどる。
第二部では、国による「過去の嘘」と「現在の嘘」に挑んだ女性弁護士の戦いに光を当てる。西山が「最後の戦い」として挑んだ情報公開請求訴訟をたどる。
情報公開をめぐる法廷で、かつて否定をつづけてきた密約を認めた元外務省高官は、こう語った。
「嘘をつく国家はいつか滅びるものです」。
あの日から、三十八年。 沖縄をめぐる「嘘」のあとを追った。…アマゾンより





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Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8





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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて:Gilbert's Nuremberg Diary)
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