情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

子どもが被害者の事件から考えるビデオ録画の必要性~司法面接を御存じですか?

2010-12-21 04:35:32 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 いま、子どもが被害者の刑事事件を担当している。この事件、極めて複雑な家族背景があり、かつ、子どもの養育歴も複雑だ。事件関係者の証言もいろいろに解釈できる、極めて難解な事件だ。

 子どもからも何度も聴き取りがなされており、それがまったく録音・録画されていないうえ、警察や検察は聴き取り時のメモを破棄したと述べており、第三者的には、真相はまったく雲の中という感じだと思う(ならば、原則通り、無罪との判断が裁判所でなされれば、録音・録画のシステムが導入されることになるのだが…)

 子どもは聴き取る大人の影響を強く受けるだけに、記憶に基づく供述なのか、それとも、大人の期待することを述べているだけなのか、後になって、判断することが極めて困難だ。したがって、最初に聞き取りをする際の様子がきちんと録画されていることが極めて重要となる。

 欧米では、こういう事件の場合、司法面接という技法がとられる。

 
 司法面接とは、日本子ども家庭総合研究所・山本恒雄氏の「性的被害確認面接について」によると次のようなものと説明されている。(孫引き:http://blogs.yahoo.co.jp/mapcan_net/9159223.html)

◆◆◆引用開始◆◆◆

3 司法面接(forensic interview)の主な特徴と内容
 forensic interview は子どもの虐待や犯罪被害事実について、法的な証拠としての客観性を確保する特別な聴き取り技法による調査面接である。証拠としての具体的な事実確認が目的であり、検察や裁判所が主なクライアントである。その点、子どもの内面の理解に焦点づけた、治療的なアプローチとしての臨床的な面接とは全く別のものである。面接者は臨床的な援助チームスタッフとは別の専任担当者が行い、その面接者は原則として臨床責任は負わないし、援助には関わらない。
 面接は1回限り、45分から1時間前後、初対面の1対1面接である。面接はワンウェイ・ミラー越しに、児童福祉、警察・検察、医療関係者、面接のスーパーバイザーなど対応専門職チームのバックアップ下で実施される。面接はビデオ録画される。

 ■概ね面接は以下の手順で進められる。子どもへの面接は原則的に、②③④の3部構成として扱われる。
 ①対応チームでの事前協議。聴取目的、内容について具体的に打ち合わせ、具体的な面接計画をたてる。
 ②面接開始 導入 : 法的な証明要件や訂正能力の確認作業や、子どもの発達や表現力の確認、ビデオ録画の告知。
 ③面接 本題部分 : 誘導や暗示、教唆や報酬の呈示によることなく、子どもから被害事実を聴取する。
 ④面接 要約と終結 : 面接で聴取した内容を要約・確認し、今後の当面の予定を呈示して面接を終結する。
 ⑤面接結果の報告書作成、資料の管理、裁判所への申立て、面接者の法廷での証人としての証言。

 面接の具体的な特徴:臨床的な面接との違い
 ①面接者は子どもに対しても中立的立場を原則とする。子どもが嘘をつく、誰かが嘘をつかせている可能性は原則的に考慮に入っている。治療的面接が基本的に子どもの発言を信頼し、支持的に扱うのとは異なる。
 ②面接は誘導・暗示・教唆・報酬となる質問や応答を避け、構造化された枠組みの中で独自の配慮されたやりとりの技法に基づいて進められる。治療的面接が子どもの発言に応じて面接者からもコメントを返してコミュニケーションをとっていくのとは異なる。
 ③面接はあくまでも事実のみを追求し、子どもの内面的な、あるいは情緒的、想像的な表現は扱わない。これは臨床的な面接が、子どもの内的な表現、感情の表出、時にファンタジーを含め、受容的、積極的に扱うのと異なる。
 ④面接は詳細で正確な記録を前提とする。標準的にはビデオテープ記録をとる。

◆◆引用終了◆◆

 今後、子どもが被害者である事件が司法手続きに乗るケースが増えるのではないかと思う。

 それにもかかわらず、旧態依然とした録画のない誘導的な取り調べを認めていたのでは、冤罪が続出する可能性がある。

 分かりやすい例でいえば、本当は、子どもが怖がっている人が虐待をしたにもかかわらず、別の人がしたということにしてしまうことが考えられる。この場合、警察もその方が被疑者のキャラクターとして落としやすい方を責めることができるので、自白(虚偽含む)をとりやすいことになり、冤罪が生まれやすくなるわけだ。

 できるだけ真実に迫り、冤罪を生み出さないための努力…。これができる国とできない国があるわけだが、なぜ、日本はできないのだろうか…。

 今回の事件を担当し、改めて、録画の必要性を切実に感じたわけです…。それは、被告人の利益というだけでなく、できるだけ真実に近い事実を認定し、関係者の将来にできるだけ正しい影響を与えるという意味でも(たとえば、刑罰をあたえたとしてもそれが冤罪の場合、実際の犯人が反省しないまま、被害者の周りにいるとすると、どうですか…)、望ましいことなのだと思う。




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