「真意に沿わない弁護活動」理由に1審破棄、差し戻し 大阪高裁

 路上で男性2人を殴り、けがをさせたとして、傷害罪に問われた清水亘被告(49)=大阪市淀川区=の控訴審判決公判が14日、大阪高裁で開かれ、福崎伸一郎裁判長は「1審で被告の真意に沿わない弁護活動が行われた」として訴訟手続きに違法があったと認定、被告を懲役1年6月の実刑とした1審大阪地裁判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻した。

 被告と被害者のどちらが先に暴行したかが争点。判決理由で福崎裁判長は、被告が1審から「相手が先に殴ってきた」と主張していたのに、当時の弁護人がそれと対立する被害者の供述調書に同意した点を問題視。「弁護人は調書を不同意にし、証人尋問で被害者証言の信用性を争うべきだった」と指摘した。

 その上で「最初に殴ったのがどちらかは、正当防衛の成否にも影響する。被告の同意を得ないまま調書を有罪認定の資料としたのは違法だ」と判断した。

 1審判決によると、被告は平成28年5月、大阪市淀川区の路上で、20代男性の顔を殴り約2週間のけがを負わせたほか、止めに入った男性にもけがをさせた。

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